2026年3月1日(日)

オトナの教養 週末の一冊

2026年3月1日

 まずシンプルに理解できるか事業かどうか、について本書はこう記す。

 投資家が自分の投資内容をどれだけ理解しているかで、成功するかが決まるとバフェットは考えている。事業に軸足を置く投資家が短期売買で利益をさらっていく人々と違うことをはっきり示す原則である。

 企業あるいは株式を所有していても、その企業が属している産業を十分理解していなければ、事業展開の是非を判定できず、正しい意思決定を行えない、という著者の指摘はもっともである。逆にいえば、自分がお金を出す先のことをよく理解しないまま安易に投資しているような人々がいることを示している。

 バフェットのアドバイスについても引用する。

 「自分の能力の範囲で投資しなさい。その範囲が大きいかどうかは問題ではありません。境界をどれだけはっきりと引けるかが重要です」

難問には手を出さない

 バフェット氏が次に重視するのは、安定した事業実績があるかどうかである。バフェット氏の特徴として、市場で脚光を浴びているような株式にはほとんど興味を示さず、興味を示すのは長期的に成功するだろうと自分で確信した企業への投資であるという。これまで着実に実績を積んで来た企業は、今後もそれを続けていけると考えるのは理にかなっている。

 さらに、興味深いのは、難局を乗り切ろうとしている企業にもバフェット氏はあまり手を出さないという本書の指摘である。経験上、企業再生はうまくいかないことが多いと考え、好調な企業を適切な価格で買うことのほうが大きな利益を得る可能性が高いと考えているからである。これについて本書はバフェット氏の言葉をこう引用する。

 「チャーリー(バフェット氏の右腕であるチャーリー・マンガー氏)と私は事業の難問を解決する方法を学んでいません。私たちが学んだのは、そのような企業に手を出さないことです。私たちが成功してきたのは、2メートルのハードルを挑び越える能力があったからではなく、簡単にまたげる30センチのハードルを見つけることに集中したからです」

 投資先が長期的に明るい見通しを持っているかどうかも注目点である。長期的に他社に対する競争優位を維持していけるかどうかを見極めるポイントして、バフェット氏が「堀」と呼ぶ参入障壁があるかどうかに注目する。大きな堀があれば競争力は強固になり、長く持続するほど好ましいという考え方である。バフェット氏の言葉はこうである。

 「深くまた広く長続きする堀に囲まれた製品やサービスは投資家にリターンを生み出します。私が重視するのは、事業を取り囲む堀がどれだけ大きいかという点です。大きな城を大きな堀が取り囲み、その堀にピラニアとワニがいれば最高です」

 経営者を見る目を養うこともバフェット氏の投資判断の重要なポイントである。株主に率直に話せる経営者かどうかという部分では、企業の財務状況をもれなく報告でき、成功のみならず失敗についてもオープンに話せる経営者のことを評価している。自らの経営の失敗に関しても、バークシャー・ハザウェイのアニュアルレポートの中で率直に報告している。


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