2026年10月30日(金)

21世紀の安全保障論

2026年10月30日

 その象徴が今年5月の中露首脳会談だ。ウクライナ戦争が長期化し、ロシアの圧倒的な中国依存を背景に、会談後の共同声明で突出したのは日本に対する内容だった。

 「中露は日本の急速な再軍備の動きが地域の平和と安定への深刻な脅威と認識する。日本に対し自国の侵略と非人道的な歴史の教訓を学び、再軍備を放棄するよう求める」と掲げ、ロシアは中国の習近平国家主席が主導する対日強硬策で共闘する姿勢を明確にした。

日露関係の関係改善は当面不可能

 その後6月に中露は、核兵器搭載可能な爆撃機4機と戦闘機など計10機を四国沖まで進出させた共同戦略パトロールを実施、7月には4隻の中露海軍艦艇が沖ノ鳥島(東京都)の排他的経済水域(EEZ)内で射撃訓練を行い、日本に対する軍事圧力を強化している。しかも4隻はその後、翌8月に強行されるプーチン氏の択捉島上陸の露払いをするかのように、わざわざ同島を経由するルートで航行している。

 その択捉島上陸を、ロシアは事前に中国に通告していたとみられ、その証拠にプーチン氏が上陸した直後に、駐日中国大使と駐日ロシア大使が「中露は第2次世界大戦の勝利の成果を否定し、ファシズムや軍国主義を復活させるあらゆる行為に断固反対する」といった内容の文書を共同で寄稿し、駐日中国大使館のホームページで公表している。

 翌9月には、日本の象徴である菊の紋章を兵士が破壊する対日戦勝記念碑を、極東のハバロフスクに設置した。ロシアは5月の共同声明を境に、高市政権を批判し、「再軍備」や「新型軍国主義」をキーワードに、国際社会の中で日本を孤立させようと企む中国の習政権に迎合し、対日圧力の強化に舵を切ったことは確実だ。高市政権はプーチン時代のロシアとの関係改善はほぼ不可能になったと認識しなければならない。

同時進行する中国の“脅迫外交”

 ここまでは5月の中露首脳会談後のロシアの動きを詳述してきたが、この間の中国の動きをみれば、中国の悪意を持った企みが鮮明になってくる。

 その一つは、日本を念頭にした中国の軍国主義キャンペーンだ。中国はロシアに続き、6月に習主席が北朝鮮を訪問、その直後に北朝鮮の金正恩氏は労働党の会議で「日本が軍事大国化を目指している。堂々と戦争国家へと変貌している」と主張した。


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