インドネシアのプラボウォ・スビアント大統領が3月29日、「公式実務訪問賓客」(国賓に次ぐ待遇)として来日し、30日には天皇陛下との会談、31日には高市早苗首相との会談に臨んだ。高市首相との会談では、経済・エネルギー供給・安全保障といった重要課題での連携強化に加えて、防災や脱炭素といった課題での協力推進で合意している。
また日本側は、不安定化する中東や南シナ海の情勢をふまえて、日本の立場や「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)の重要性を強調し、インドネシア側も、複雑化する世界情勢の中で両国は課題解決に資するべきと応じている。
今回、日本側はイラン情勢を受けたエネルギー資源の供給不安定化と価格高騰を受けて、世界有数の液化天然ガス(LNG)産出国であるインドネシアからの安定供給を確保したい考えであった。またインドネシアは、インド洋と太平洋をつなぐ地理的位置に加え、約2億8000万の人口規模を有する地域大国で、東南アジア諸国連合(ASEAN)の最有力国でもある。このため同国とは、長年の経済協力関係を再強化し、また中国の対外拡張を念頭に、安全保障面での理念共有や政府安全保障能力強化支援(OSA)を誘い水とした実務協力を強化したい思惑もあった。
これに対してインドネシア側は、各種の実務協力で成果を得つつ、一方で世界情勢や地域安全保障については、表面的には日本との連携を表明した。だが実際には、米・中・ロの勢力均衡を図りながら独自の立場を貫くという同国の基本姿勢から、慎重な態度を崩していない。
すなわち、インドネシアが日本に求めているのは、「ミドルパワー」(一定規模の国際的影響力を持つ準大国)同士としての実務的な連携強化である。それは、かつて20世紀後半に、「大国」日本が「発展途上国」インドネシアをリードしたような「協力」関係の形からは、もはや明確に変化している。
