2026年11月2日(月)

World Energy Watch

2026年11月2日

 フランスは過去20年にわたり、UAEとの戦略的関係を強化してきた。特に26年2月末に始まったイラン戦争では、UAEにある仏軍基地の上空において、安全確保のための防空作戦を実施し、空対空ミサイル「MICA」などを用いて、イラン製ドローンを撃墜したと報じられている。こうした軍事的支援が両国の信頼関係を一層深め、今回の防衛協力の強化を後押ししたと考えられる。(参考「イランが執拗に攻撃するUAEをフランスと韓国が防衛する狙い」)。

国内経済にも寄与

 フランスにとって、UAEとの防衛協力の深化は国内防衛産業の活性化という経済的意義も大きい。フランス国防省によれば、国内の防衛産業には9社の主要企業と4369社の中小・中堅企業が参画し、約21万人の雇用を生み出している。

 ラファールの大型輸出契約は機体を製造するダッソーをはじめ、エンジンを供給するサフラン、電子装備品を手掛けるタレスなど、多数の関連企業に長期的な生産需要をもたらす。さらに、納入後の整備・補修や部品供給も継続的な収益源となる。

 フランス国防省は、防衛分野への投資1ユーロに対して国内経済に1.27~1.68ユーロの経済効果が生じると試算しており、防衛産業は雇用や地域経済を支える重要な産業でもある。

 このように、フランスにとってUAEをはじめとする湾岸諸国との関係強化は、中東における戦略的影響力の維持に加え、防衛装備品の輸出拡大による国内防衛産業の活性化にもつながる。今回のマクロン大統領の湾岸歴訪は、安全保障協力の強化を国内の経済的利益にも結びつけようとするフランスの戦略的な経済外交としても重要な意味を持つ。

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