2026年10月12日(月)

モノ語り。

2026年10月12日

 私の生まれ故郷である伊予松山。東京や大阪には今でこそ、飛行機や鉄道で行くことができますが、かつては「港」が玄関口でした。夏目漱石の『坊っちゃん』にも描かれている、ターナー島を望むことができる三津浜、高浜です。

白石本舗 醤油餅 上から時計回りに「すや・抹茶」「梅」「柚子」「醤油」「生姜」。真ん中は「りんまん」(写真・鈴木優太以下同)

 子どもの頃、広島の大竹にある母親の実家に行く際、この港を利用していました。自宅から港までの通り道にあって必ずお土産にしていたのが白石本舗の醤油餅です。白石隆聖さんに話を聞きました。

 「松山藩祖の一人である久松定勝が家臣の繁栄を祈って分け与えたのが始まりとされています。もともと、米粉に醤油を練りこんだお餅でしたが、明治期になって、初代の白石ハナが醤油餅に餡を入れたことで評判となり、醤油餅専門店として創業しました」

 まさに松山で400年以上受け継がれてきた逸品なのです。かつては家庭で作ったり、販売したりするお店もたくさんあったそうですが、今では少なくなっているとのことです。

「80代の方が、『おばあちゃんがつくってくれたお餅と同じ味』と言ってくださることもあります」

 変わらぬ味を守り続けているのです。ただ、全く何も変わっていないということではありません。

 「例えば、お餅の形です。今でも手作りですが、包む時には機械を使っています。それに合わせるために、小判型から丸型に変更しました。形が変わっただけでも『味が変わった』と言われる方もいました。何かを変えるということはとても難しいことです」

 お餅といえば、普通はもち米を使っていると思ってしまいますが、白石本舗の醤油餅は、うるち米、つまり、普通にご飯として食べるお米を使っています。


新着記事

»もっと見る