都市型水害とどう向き合うべきか──。今年8月に発生した千葉豪雨(令和8年8月千葉豪雨)は、我々にこの問いを突き付けた。ところが、その答えを出す間もなく、8月末に石川・富山・福井県で、9月上旬には東海地方や福島県いわき市などで記録的な大雨が襲った。そして、千葉県は3度目の豪雨に見舞われた(10月1日時点)。
日本に住んでいる以上、豪雨・大雨被害は、他人事ではいられない。1時間に100ミリを超える雨量を計測した令和8年8月千葉豪雨および名古屋市の記録的大雨を振り返り、都市型水害への対策を考えたい。
自動車修理会社でみた
文明の利器の脆さ……
「お盆明けは修理の電話が鳴りっぱなしでしたね。でも、持ち込まれた自動車の9割が廃車になりました」
自動車整備工場アスカ自動車工業(千葉市若葉区)の佐藤実さんは被災直後の店舗の様子をそう語った。
8月、同社には被災した数十台の自動車が運び込まれ、ピーク時は敷地内の駐車場が満車になった。
「車は構造上、上からの雨には強いものの、冠水や浸水被害には非常に脆弱です。外観に異常がなくても、床下の配線部分やエンジンルームに水が浸入すると、いつ故障してもおかしくない状態になり、非常に危険です。EV(電気自動車)であろうと、脆さはあまり変わりません。実際に持ち込まれたEVは全て廃車となりました」
水没した自動車を見ると、たしかに外観では廃車になるとは思えない。だが、ドアを開けると、熱気のこもった下水混じりの酸っぱい臭いが鼻を突いた。タイヤの上まで泥水の跡が残り、ナンバープレートは水圧でぐにゃりと曲がっていた。想像を遥かに超える豪雨の力と、自動車の脆さがそこにあった。少しでも被害を防ぐにはどうすればいいのか。
佐藤さんは「水に対する車の弱さを知ることが大事。命を守るには、車に乗らない。車を守るには高台に置くしかありません」と話した。
今年、アンダーパスでの自動車水没による人的被害は、千葉豪雨時のみならず福島県いわき市でも発生した。東京消防庁都民防災教育センター「本所防災館」課長代理の北村真二さんは、「豪雨の際、アンダーパスには絶対入ってはいけません」と強く警鐘を鳴らす。
「風がない日には時折、アンダーパスの水面が道路のように見えて、気付かず進入してしまうことがあります。千葉豪雨のような時には、仮に目的地が近くても『まだ行ける』『まだ大丈夫だ』と過信せず、すぐに路肩に寄せ、車から降りて、安全な場所に向かうべきです」
