見逃せないマンションの孤立
断水との闘い
多くのマンションでは電気や給水などの重要な設備が地下に設置されているが、それらが損傷すると、照明やエレベーターのみならず、電動給水ポンプが停止し、上下水道も使用できなくなる。
8月の千葉豪雨から3週間余りがたとうとする9月1日、千葉市内では、共用部の停電が続くマンションが見られた。その一室を事務所として利用している60代男性は、「6階から向かいにある公園の公衆トイレに行くのに1日に何度も階段を往復します。住民のほとんどが高齢者で上り下りは大変です」と話した。
国土交通省は、令和元年東日本台風時に川崎市のマンションで地下設備が冠水、停電した事態を受けて、2020年に「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン」を策定した。ガイドラインでは、地下に設備があるマンション改修時や新築時に防水扉など設置することや、電気設備を上階に配備することを推奨している。しかし、このガイドラインには強制力はなく現時点で根本的なリスク解消には至っていない。
観測史上、最多雨量を記録
名古屋市を突然襲った豪雨
9月8日、名古屋市で観測史上最大の猛烈な雨を記録した。市内各地で道路が冠水し、公共交通機関も相次いで運転を見合わせた。
実は名古屋では00年9月にも「東海豪雨」が発生しており、このことは東海地方の人々の記憶に深く刻まれている。庄内川支流の矢田川の河川敷にある庄内橋自動車学校で、教習課長を務める剣地守さんは、当時を思い出してこう話す。
「雨で庄内川がとにかく激流だったのを覚えています。コースにはあっという間に浸水しました。車は移動させて無事でしたが、水が引いた後の流木の撤去などが大変で、教習再開までに数日かかりました」
それから26年後、豪雨は再び自動車学校を襲った。
「東海豪雨の経験から上流の水位の変化に応じて避難マニュアルを整備しました。8日は予報や河川水位を確認し、早めに教習を中止して生徒たちには避難してもらいました」
その約1時間半後に川から水があふれ始めコースに浸水してきたが、大きな被害には至らず、翌朝には教習を再開することができたという。
「東海豪雨以降、『迷ったら空振ってもいいから手のかかる方を選ぼう』と思っています。今回、26年前とは比べ物にならない速さで水量が増えていきました。判断が遅れなくてよかったと思います」
