自社のカフェで提供したり、まちづくりの一貫だったりと、「クラフトビール」造りには、私自身もよく参画しています。
2023年、東武鉄道が運行を開始し、浅草~日光間を結ぶ「スペーシアX」の「コックピットラウンジ」内にあるカフェカウンターで提供するクラフトビールを私がプロデュースさせていただけることになりました。そのご縁で知り合ったのが、今回紹介する、THE KICHIの細田央さんです。
「大学時代にビールが好きになりました。電気通信大学を卒業後にIT系企業にエンジニアとして就職しましたが、学生時代から交際していた現在の妻が『カフェを開きたい』と、実家のある日光にUターンしたことがきっかけで、自分も本当にやりたいことをしようという気持ちが芽生えました。そんなことを思っていた17年に奇跡的に人材を募集していたのが『日光ブリューイング』でした」
私が細田さんに出会ったのも日光ブリューイング時代で、前職の経験が生きていると強く感じました。ビール造りは感性だけでなく、〝サイエンス〟の要素が強いのです。エンジニア出身であることがデータの蓄積や品質管理に生かされたのです。
「入社2年目の終わり頃、同期3人のうち2人が辞めてしまって、1人で工場を回すことになりました。このままではまずいと思って、効率化を進めました。その仕組みと酒税法への対応方法などが、今、夫婦だけで運営できる体制のベースになっています」
そして、24年8月、細田さんは独立を果たします。
「もともと独立するつもりで入社していましたし、今でも私自身、他のマイクロブルワリーの立ち上げを手伝っています。日本ではクラフトビール自体、まだマイナーです。だから、ブルワリーを運営している人たちも、ライバルが増えるというよりも、仲間を増やしたいという思いが強いですね」
