11月3日に投開票された米中間選挙は、民主党の歴史的な圧勝に終わった。民主党は下院の多数派を奪還した上、上院でもオハイオ、アイオワ、サウスカロライナ、メイン、ノースカロライナ、カンザス、テキサスの各州で7議席を共和党から奪い、4日朝の時点で少なくとも54議席を確保した。
テキサス州では37歳の新人、タラリコ氏が共和党のパクストン州司法長官を破り、同州で1988年以来となる民主党の上院議席を手にした。メインでは共和党穏健派の重鎮コリンズ氏までもが議席を失っている。
重心が動くアメリカ政治
票を動かしたのは物価と生活苦であるのは間違いない。選挙前のAP通信・NORCの世論調査では、有権者の最優先課題は経済と生活費であり、トランプ氏の生活費対策を支持しない人は約8割に達していた。また、出口調査でのトランプ氏の支持率は38%と、中間選挙時の大統領として記録的な低さである。
皮肉なのは、2024年にトランプ氏を大統領に押し上げたのも同じ「現状への不満」だったことだ。インフレに怒った有権者は、暮らしを楽にするという約束に賭けた。その約束が果たされないとみるや、同じ不満がそのまま与党に跳ね返った。
まさにブーメランであり、一世代に一度と言ってよい規模の票の移動である。赤い州の上院議席が次々に倒れたことは、党派への忠誠よりも、またイデオロギーよりも、生活実感が優先される時代に入ったことを示している。
民主党が両院を制したことで、来年1月の新議会発足以降、政治の重心は大きく動く。民意の底流には、生活苦に加えてトランプ政権周辺の利益相反や汚職への批判が強く流れていた。
新議会ではほぼ全ての委員長ポストを握る民主党は、召喚状を武器に、政権高官、トランプ一族のビジネス、関税や規制をめぐる不透明な取引などへの調査を一斉に本格化させるだろう。下院での弾劾訴追も現実的な選択肢となる。
ただし、これは民主党にとって一種の「麻薬」でもある。トランプ追及を続けている限り、党内の左派と中道派は共通の敵の前で団結でき、路線対立の表面化を先送りできるからだ。
