民主党は「トランプ弾劾」ではまとまれる。だが、それ以外の分野では内部対立が本格化する可能性が高い。ニューサム知事やハリス前副大統領ら主流派は、今でもイスラエル支持、グローバリズム支持、AI開発推進という立場にある。これでは、ガザ情勢に批判的で、雇用をAIに奪われることを恐れる若者の票は来ない。
一方のAOC氏は、AI規制と格差是正を前面に出すばかりで、アメリカ経済全体を成長させるイメージを描けていない。彼女は過去の極端なイデオロギーを自己批判するなど、現実路線に寄せる姿勢を見せてはいる。しかし、分配だけでなく成長の物語を示せなければ、党内の熱狂は集められても、最終的にトップには立てないだろう。民主党の課題は、主流派の「成長」とAOC氏の「公正」をどう統合するかにある。
政局を動かす外的要因
こうした政局の行方を常に脅かしているのが、AIバブル崩壊のリスクである。米国の株式市場はAI関連銘柄への期待に大きく依存している。仮にアンソロピックの上場が失敗する、スペースXやエヌビディアの株価が暴落するといった局面が訪れれば、資産効果の逆回転によって米国経済は一気に崩れかねない。
この点で、民主党が過度にトランプ摘発に集中することも崩壊要因になり得る。議会が調査と弾劾に明け暮れ、予算や債務上限をめぐる協議が停滞すれば、市場の不安を増幅させるからだ。勝者となった民主党は、追及の力と同時に統治能力をも問われることになる。
外交面では、イラン情勢が焦点となる。トランプ氏は、イスラエルで新政権が組閣される前に、イランへの本格的な攻撃に踏み切りたい意向が垣間みられる。だが、両院を失ったこの選挙結果を受けては、さすがにある程度は思いとどまらざるを得ないであろう。戦争権限をめぐる議会の牽制が強まる上、生活苦を訴えた有権者が中東での新たな軍事行動を歓迎するとは考えにくいからである。
今回の中間選挙は、トランプ政治への審判であると同時に、民主党に対する本格的な「テスト」の始まりでもある。トランプ追及という「麻薬」に頼らず、暮らしを立て直す成長の構想を示せるか。2028年への道のりは、すでに始まっている。
