とはいえ、上院で有罪とするには3分の2、すなわち67票が必要である。54議席の民主党がこれを達成するには、共和党から十数名の「造反」が必要だ。仮にそれが実現したとしても、待っているのはヴァンス副大統領の昇格である。
トランプ氏より若く規律のある保守政治家が、28年の大統領選挙を前に現職大統領として地歩を固めることになり、民主党にとっての実益は乏しい。調査と弾劾は、使い方を誤れば党の体力を奪うだけになりかねない。
民主党が抱える課題
今回の選挙は、事実上28年大統領選の号砲となった。共和党側では、ヴァンス副大統領とルビオ国務長官が正副のチケットを組むことへの待望論が強まっている。トランプ路線の継承と、外交・安全保障での安定感を両立できる組み合わせだという計算である。
一方の民主党では、左派のエースである、アレクサンドリア・オカシオコルテス(AOC)下院議員に対して、大統領選出馬の待望論が加速するのは避けられない。今回の勝利の原動力が、若者や生活苦に直面する層の動員であったことを考えれば、その声を最も鮮明に代弁してきた彼女に期待が集まるのは自然な流れである。ミシガン州で進歩派のエルサイード氏が勝利したことも、党内左派の勢いを裏付けている。
だが、両党の新世代において前途は平坦ではない。まず、ヴァンス氏は2つの制約に縛られている。
第1の制約は、トランプ政治との距離感である。今回の大敗を受け、大統領を目指すのであればトランプ氏と一定の距離を置かねばならない。しかし現職の副大統領である以上、公然と離反することは難しい。距離を取りすぎればMAGA支持層の反発を招き、近すぎれば今回離反した無党派層を取り戻せない。
第2の制約は、連帯責任である。トランプ氏の残り任期中に、AIバブルの崩壊のような大きな経済的破綻が起これば、副大統領として政権の中枢にいたヴァンス氏も責任を免れない。自らの手では防ぎようのない危機の責任を背負わされるリスクを持つ。
