2026年8月28日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年8月28日

 そのため、3つ目の課題は最初の2つと同様に不可欠である。一つの戦略は、軍の上層部など、依然として中国の抑止を重視している人たちと、より緊密に協力していくことだ。しかし、信頼できる抑止力はトップから発せられなければならない。

 アジアの指導者たちは、「中国が世界一の超大国としての米国の地位を脅かしていること、そして中国の軍事的野心が、産業、技術、経済的な野心と密接に結びついていること」を、トランプ大統領に直接訴えかける必要がある。

 もしトランプ氏が、中国が危険な競争相手という事実を受け入れれば、アジア太平洋における米国の国益について、より広い視野で捉えるようになろう。

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トランプも認識する対中抑止の重要性

 この社説の内容のうち次の3点が、対中抑止力を高め、アジア・太平洋地域の平和を維持するために、特に重要である。

(1)日、比、豪州(注:米国のアジア同盟国:日、比、豪州、タイ、韓国)は、①自国の防衛力強化、②相互連携の強化に加え、③米国による同盟国への関与強化が必要である。

(2)上記①及び②は、十分ではないものの、それなりに進展している。その一方でトランプ氏や多くの米政府高官は、昨年10月および今年5月の米中首脳会談以降、中国を批判しないように注意を払い、中国の威圧に直面している同盟国を擁護することに消極的になっている。

(3)アジアの指導者達は、中国が世界一の超大国としての米国の地位を脅かしていること、そして中国の軍事的野心が、産業、技術、経済的な野心と密接に結びついていることを、トランプ大統領に直接訴えかけ、中国が米国にとって最も危険な競争相手という事実を同大統領に受け入れさせることが不可欠である。

 さて、米国の対中認識に関して、米議会関係者、国務長官、国防長官等は、「中国は既存の国際秩序を自国にとって都合の良いものに書き換えようと目論見、そのためにあらゆる手段を講じている。米国にとって最大の敵は中国である」との認識で一致していると思われる。トランプ大統領自身は、その点について明確に言わないが、次の4点から同様の対中認識を共有していると考えられる。

(1)中国の影響力排除を念頭に置いた西半球重視政策の実施

(2)欧州の防衛について、欧州諸国自身の防衛力強化・自立を促している背景には、米国自身の国力低下を自覚しており、戦力を対中関係に集中したいとの計算があると思われること


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