2026年7月30日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年7月30日

 ウォールストリート・ジャーナル紙の7月6日付け社説が、「オープンAIのサム・アルトマンは米政府と社会主義的取引をしようとしている。それはファウスト的取引(悪魔の契約)だ」と述べている。この社説は興味深い。

(ロイター/アフロ)

 社説は、なぜアルトマンは政府を関与させようとするのかと問い、次の三点、①政府との連携を通じて自社の資金調達コストを引き下げたい、オープンAIは「強力なライバルと異なり、データセンター構築を自己資金で賄えるほどの潤沢な現金や利益の蓄積を有していない」、②「政府が株主となれば、規制上の優遇も期待できるかもしれない(AIモデルの承認手続の迅速化、データセンター建設の許認可、あるいは政府契約の獲得など)、③政府の出資は暗黙の保証となる(「大きすぎて潰せない」)と説明する。

 さらに、同社の顧問などにいる民主党系の有力者が同社のリベラルな思考に影響を与えているかもしれないと言う。そして、社説は、①「いかなる政府所有も、企業に大きなコストをもたらす」(フランスのルノーの例、日本製鉄のUSスチールの例、中国の企業の例)、②「活力ある新産業が政府の付属機関のような存在になってしまえば、米経済全体が損害を被る」、③「オ-プンAIもまた、自らの力で成功するか失敗するかを決めるべきだ」と述べ、あくまで自由な資本主義の競争の中で発展させるべきだと主張する。

 企業や資本主義を強く信奉する側から見れば、基本的にそうであろう。しかし、今問題になっているのは、国家安全保障への影響やAIの人間の生活に与えるインパクトの大きさに鑑みれば、自由競争ではなく、何らかの規制、課税、そして恐らく国際的ルールが必要ではないかということである。

 また、莫大な創業利益に対する社会の反感も根強くあり、企業はそれも恐れているようだ。既にデータセンター建設には反対運動も起きている(ニューヨーク州は7月14日、新たな建設許可を最大で1年間凍結すると発表)。


新着記事

»もっと見る