2026年6月23日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年6月23日

 2026年6月5日付ウォールストリート・ジャーナル社説が、もしトランプ政権がAI企業の株式の半分を所有する政策を採るのであれば、それは米国を社会主義へ導く道であり歴史的な悲劇となるだろうと述べている。

(Anna Moneymaker/Greggory DiSalvo/gettyimages)

 米国の政策的失敗の多くは、超党派の思考停止による。新たな例が現れた。サンダース上院議員(民主党左派)が、連邦政府がAI企業の所有権持分を取得すべきだと主張している。

 一体共和党政治家の誰がこの国家主義的な思いつきを吹き込んでいるのか。サンダースは、ニューヨーク・タイムズで、近く提出予定の法案を紹介し、AIソブリン・ウェルス・ファンド(SWF、政府系投資基金)の創設を提唱した。

 本紙は昨年、同様のトランプ提案を批判した。SWFは通常、その国の国民よりも支配者やその取り巻きを豊かにする傾向がある。民主党は、トランプ一族が暗号資産取引を通じて大統領職から利益を得ていると批判している。もし政府が米国で最も裕福な企業群の株式を保有するようになれば、腐敗への誘惑はどれ程に大きくなるだろうか。

 ほとんどの国のSWFは、エネルギー生産から得られた使用料等を原資としている。しかしサンダースは、企業の株式の半分を政府へ差し出させようとしている。

 サンダースはこれを「企業株式に対する一度限りの50%課税」と呼ぶ。しかし、これは税金ではなく、実質上、政府による財産没収だ。「正当な補償なしに政府が私有財産を収用すること」を禁じた合衆国憲法修正第5条に違反するだろう。

 サンダースは、政府がその所有権を利用してAI企業を支配し、その「投資利益」を有権者に再分配することを目指している。進歩派は、これを「ユニバーサル・ベーシック・キャピタル(普遍的資本配当)」と呼んでいる。しかし、それは資本主義を装った社会主義に他ならない。

 「連邦政府は、その議決権付き株式と各企業の取締役会における同数の代表権を通じて、市民に害を与える決定を阻止し、市民の利益になる政策を推進する権限を持つことになる」とサンダースは書いている。これは、連邦政府がAI企業の投資方針を指示し、誰を採用し、誰を解雇するかまで決定できることを意味する。その一つのモデルが、中国の国有企業だ。

 不幸な真実は、トランプが産業政策を通じて、サンダースの「AI 社会主義」への道を開くのを助けてしまったことだ。トランプは、規制権限を利用して企業から事実上の「上納金」を引き出している。


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