「飛鳥・藤原の宮都」が世界遺産登録を受け、国内外から注目を集めている。「日本」という国号、「天皇」という称号、律令制による中央集権国家――現代日本の骨格をなす概念の多くが、6世紀末から8世紀初頭にかけて、この地で生まれた。単なる観光地ではない。ここは、日本という国家が"かたち"をなした場所だ。
その舞台裏に眠る謎と真実を、丁寧に解き明かしたのが、『飛鳥・藤原に隠された古代宮都の謎』(瀧音能之編、古川順弘著、ウェッジ) である。宮都の変遷から古墳・寺院・神社の成り立ち、そして藤原京誕生の歴史的意義まで、世界が認めたこの地の価値を深く知るための羅針盤となる一冊だ。世界遺産登録を機に、あらためて「日本のはじまり」と向き合ってみてはいかがだろうか。
世界遺産登録が実現―― 飛鳥・藤原とは何か
「飛鳥・藤原の宮都」の構成資産には、飛鳥宮跡、藤原宮跡、石舞台古墳、高松塚古墳、キトラ古墳、飛鳥寺跡、川原寺跡、山田寺跡など、飛鳥・藤原エリアを代表する遺跡・古墳・寺院跡が名を連ねる。
奈良県は長年にわたって登録推進活動を続けてきた。地元の橿原商工会議所や明日香村も「飛鳥・藤原の宮都」の魅力発信に力を入れ、官民一体で機運を高めてきた経緯がある。登録実現は、地域にとって悲願でもあった。
飛鳥という地は、奈良盆地の東南部に位置する南北4キロ、東西1.5キロほどの山里風の小盆地だ。その小さな土地に、なぜ100年以上にわたって日本の宮都が置かれ続けたのか――その問いへの答えが、今まさに世界から問われている。
