今春4月17日、奈良県吉野郡黒滝村の道の駅「吉野路黒滝」に新たな店舗がオープンした。それはアウトドアメーカーのモンベルによる「モンベルルーム吉野路黒滝店」。モンベルの辰野勇会長や黒滝村の植田忠三郎村長らも出席し、チェーンソーアートの実演なども行われて、賑やかなオープニングセレモニーを展開した。
店内にはカラフルなアウトドアウェアやキャンプ用品などが並び、品揃えは都会の店舗と比べても遜色ない。開店直後だけに来店者でごった返していた。なお、経営はモンベル直営ではなく、黒滝村森林組合が担うフランチャイズだ。店長も組合職員である。
黒滝村は紀伊半島のど真ん中とも言える位置にあり、この道の駅までは最寄りの鉄道駅(近鉄下市口駅)から車で30分近く山の中を走らねばならない。村には美しい渓流やキャンプ場、温泉施設もあるが、集客力のある観光地とまでは言えない。
村の人口は4月1日時点で585人。吉野林業地の一角とはいえ、林業従事者数はさほど多くない。高齢化も進んでいる。そんな村にアウトドアグッズを購入する客はどれほど来るのだろうか。
「村民の購買力はしれていますが、道の駅の来訪者は多いんです。うちの村ばかりではなく、南部の天川村へ向かう人が途中で寄ってくれます。天川村は世界遺産の大峯奥駈道や天川弁財天、また紅葉で人気のみたらい渓谷など有名な観光スポットがあり、シーズンは登山客や観光客で道路が渋滞するほどです。そんな人たちがここで一服する。道の駅で飲食や土産物を買うだけでなく、モンベルの商品にも目を向けてくれると思います」と森林組合の職員は、店を誘致した意図を説明する。
モンベルの会員数は全国に100万人を超える。ある意味、モンベルの店自体が集客装置になることを期待されているのだろう。