年末年始は家電や家具を検討する一つのタイミング。中でも、調理家電は技術開発により料理を効率的かつ発展的なものへとしてくれるようになっている。また、土鍋や包丁といった調理器具も作り手のこだわりを意識すれば、日々の食卓はまた変わる。
毎日の家事を楽しくするためにも、商品や作り手の〝裏側〟を知っておきたい。現代の調理革命がわかる記事5本を紹介する。
<目次>
・高級炊飯器「戦国時代」 日本メーカーの“独壇場”である3つの理由、勝負の分かれ目は何か?(2025年9月30日)
・<火加減の手間なし、吹きこぼれなしの炊飯専用「土鍋」>生んだのは肉厚の”不良品”と「メモ魔」の習性(2025年2月9日)
・鳥の翼、サメ肌、ホタテ貝…「生物模倣」の製品開発は脱炭素の切り札となるか(2025年5月29日)
・〈世界から求められる切れ味〉料理人からも支持されるステーキナイフと包丁、越前・龍泉刃物(2025年10月5日)
・【料理の自動化最前線】チャーハン、焼きそば、唐揚げも!ここまで進化した「オートクッカー」(2025年11月11日)
高級炊飯器「戦国時代」 日本メーカーの“独壇場”である3つの理由、勝負の分かれ目は何か?
冷蔵庫、洗濯機、テレビの「三種の神器」がもてはやされていた頃、食卓にも大きな革命が起きた。
それが自動式電気釜だ。1955(昭和30)年に東京芝浦電気(現・東芝ライフスタイル)が自動式電気釜「ER−4」を発売した。ここで自動というのは、炊き終わったら自動で停止することを言う。東芝はその後、タイマーを追加する。朝の忙しい家事をサポートするためで、仕掛けておけば人がいなくてもご飯が炊けるのは、画期的だった。
家事を楽にしてくれる炊飯器は、ここから始まった。
それまでも、電気で炊飯できるものはあったが、自動で電源オフにならないため、焦げないように、ずっと付いている必要があり、薪を焚べるなどの肉体労働は軽減したものの、その時間で別の家事ができるというわけではなかった……
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<火加減の手間なし、吹きこぼれなしの炊飯専用「土鍋」>生んだのは肉厚の”不良品”と「メモ魔」の習性
ある時まで、ご飯を炊く時は某フランスメーカーの琺瑯鍋を使っていました。おいしいのですが、「はじめちょろちょろ、中ぱっぱ、赤子泣くとも蓋とるな」という通り、手間がかかっていました。そのため、手間いらずの炊飯専用「土鍋」があると聞いたとき、信じられませんでした。中強火で13分、あとは火を切って20分蒸らすだけ(3合炊きの場合)。
この土鍋「かまどさん」を生み出した伊賀焼窯元長谷園8代目の長谷康弘さんに、お話を聞きました。
長谷園のホームページや取説は分かりやすいばかりか、その分量にも驚かされます。そこには「メモ魔」だった康弘さんの父で7代目の優磁さんのDNAが受け継がれているのです……
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鳥の翼、サメ肌、ホタテ貝…「生物模倣」の製品開発は脱炭素の切り札となるか
ビルの設計に人体の仕組みが参考にされていることをご存じだろうか。日建設計(東京都千代田区)は2024年、二酸化炭素(CO2)排出量を最大40%削減する超高層ビルのプロトタイプを発表した。
呼吸を促進するヒトの肺の換気ドライブを模倣して冷房負荷を軽減したり、植物の葉序を模倣して自然の光と風を取り入れたりすることで、消費エネルギーを抑え、環境に配慮したつくりのビルだ。
建設には従来よりも10%程のコストアップになるが、同社エンジニアリング部門統括常務執行役員の水出喜太郎氏は「運用コストを踏まえると、長期的に見て建設コストが高いとは限らず、検討に前向きな企業も多い」と手応えを掴んでいる。また、同社同部門設備設計グループダイレクターの杉原浩二氏は「今までも建築に用いられてきた生物模倣を応用しているため、用途に応じて自在に組み合わせることも可能だ」と話す……
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〈世界から求められる切れ味〉料理人からも支持されるステーキナイフと包丁、越前・龍泉刃物
国内外のセレブが訪れる福井県の料理旅館、望洋楼。統括本部長の山本利勝さんは、県の内外で行われる様々なプロジェクトに携わり、地域の魅力を陰から支え続ける心強い存在です。ご縁あって長年お付き合いさせて頂いているのですが、ある時、山本さんからお土産に包丁を頂きました。
その中には、「研ぎ直し券」が入っていました。これまで気に入った包丁でも、自分で研ぐことはできなかったので、包丁そのもの以上にもらって嬉しいお土産でした。
その包丁を手がけるのが、福井県越前市の龍泉刃物です。社長の増谷泰治さんにお話を聞きました。
「祖父が刃物の研ぎ師をしていました。その後、父の代になって包丁の生産を始めました。ステンレス鋼の包丁は1961年から生産を始めました」……
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【料理の自動化最前線】チャーハン、焼きそば、唐揚げも!ここまで進化した「オートクッカー」
キッチン家電。自炊する人なら、かなりの種類を持っているのではないだろうか。あまり自炊しない人でも、「冷蔵庫」「炊飯器」「オーブントースター」「(オーブン)電子レンジ」の4種類を持つ人は多い。炊飯器は米、オーブントースターは食パン、電子レンジは外で買ってくるおかずのためだ。
これにガスコンロもしくは電気コンロ、そして深鍋、もしくはフライパンがあれば、かなりの種類の料理ができる。しかも、令和は共働きが当たり前の時代。しかも賃金は上がらずに、物価が上がる。先行きの不安は募るばかり。そうなった時の自衛策の1つで自炊は必ず出てくる。外食より格安だからだ。ただ条件がある。「時短」だ。
日本の場合、概して海外より調理時間は短い。理由は「箸」の文化だからだ。肉の褒め言葉に「箸でも切れる」という言葉がある。これは肉が柔らかいという意味だが、基本的に箸だけで食べる日本では、多くの場合、肉は薄切りにする……
