2025年12月29日(月)

お花畑の農業論にモノ申す

2025年12月29日

 コメや野菜の価格高騰や農業の制度的な課題をマスメディアが取り上げる際に、農協(JA)の課題が背景にあることが度々強調される。しかし実際の現場を見聞すると、依然として農協が農家と消費者双方に欠かせない役割を果たしている場面があると痛感する。

 その一つに農産物の流通が挙げられるが、農作業に必要な農業機械の共同利用もある。それは生産コストを圧縮し、コメや野菜、果物の価格を下げることに寄与する。

飼料用とうもろこし収穫写真(出所)JA鹿追町ホームページより

 2025年11月上旬に訪問したベトナムの機械共同利用の事例と国内の事例から、その役割を再認識することになったため、報告したい。

ベトナムの機械の共同利用

 筆者が訪れたのは、ベトナムのハノイ近郊に位置するMr. Tuấn(トゥアン氏)の農場だ。農場は見渡す限り野菜の圃場が続く、200ヘクタールにおよぶ露地野菜地帯の一角にある。

自分の経営について気さくに話してくれたトゥアンさん

 トゥアン氏は7200平方メートル(0.72ヘクタール〈ha〉)ほどの農地を、データ管理や農業アプリを用いず、経験と目視のみで運営している。灌水もすべて人力だ。

トゥアンさんのダイコンの圃場

 野菜地帯全体としては広大な農地で、最新技術を活用せずに生産できる秘密が機械の共同利用にある。耕うんなど農作業に必要な機械を個人で所有しないで、地域全体でトラクターを共同利用している。


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