2024年12月4日(水)

都市vs地方 

2024年12月4日

  冬を前に、野生の熊が人里に現れ、農作物や人に対して被害を及ぼす事例が報道されている。秋田市では、11月30日にスーパーに侵入し、2日にわたって居座った。

(Satoru S/gettyimages)

 通常、熊は11月から翌年の4月にかけて冬眠するといわれているが、今年は暖冬が続いたためか、11月に入っても熊の出没が報告されている。秋田県の「ツキノワグマ等情報マップシステム(クマダス)」によれば、11月1日から30日までの1カ月間で、54件のツキノワグマ目撃情報が登録されている。秋田県では毎日どこかで2件弱の熊の出没が起きていることになる。12月からの冬眠をまえに、熊も食料調達の追い込みをかけているためであろうか。

 今回は、野生の熊の被害状況を検討するとともに、その背景にある野生の熊の生存状況、人口の少子・高齢化を踏まえての展望などを地域別に検討することとしたい。

漸増する熊による人的被害

 熊の生態やその被害については環境省が「クマ類による人身被害について [速報値]」として公表している。まず、08年以降の熊による人的な被害について示したものが図1である。

 この統計は環境省が都道府県ら聞き取った数値を取りまとめたものであり、24年は11月とりまとめ時点前までの速報値である。ただし、出没件数の集計方法は、都道府県ごとにそれぞれ異なる(警察への通報件数、市町村からの情報など)とされている。

 図1を見ると、被害者数は年によって変動はあるものの漸増傾向を見せており、被害者数に占める死亡者数の割合(折れ線)も近年増加傾向にあることが分かる。


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