地域で偏在する被害
次に、熊による被害を都道府県別に比較してみることとする。環境省資料による23、24年(11月集計前まで)の足掛け2年の間での被害者の分布を示したものが図2である。
図2を見てすぐにわかることは、東日本地方特に北海道・東北地方で被害者数が多いことである。また、逆に西日本地方では被害者数がゼロとなっている府県が多い。すなわち、熊による人への被害はかなり地域的な偏在が大きいことがわかる。
各都道府県で人口が異なるため、被害者数を各都道府県の人口で除した比率を算出し、上位10位までを示したものが表1である。
表1ではランキングが示されている10の県のうち、半分の5県が赤い字で示した東北地方で占められている。逆に言うと西日本の県で表1のランキングに含まれている県は島根県だけである。
ここでランキングに含まれる山形県、石川県、島根県は被害者の数では10人を下回っている。しかし、北海道は12人とこれらの県よりも多いにも関わらず、10位までにランクされていない。北海道の被害者発生率は、12人を総人口(509万人)で除すと人口千人当りの被害者数は計算上は0.002となるためである。
東北地方で熊による被害が多いことは、図3に示した23年の地域別内訳で一目瞭然である。環境省公表資料の円グラフを見てわかる通り23年のクマ類による人身被害の4分の3が東北地方で占められている。