2024年12月22日(日)

令和のクマ騒動が人間に問うていること

2024年11月20日

 9月23日、午後8時過ぎ。世界自然遺産・北海道の知床国立公園内。小誌取材班は「夜の動物ウォッチングツアー」に参加していた。これは、野生動物管理に関心のある学生たちを対象に、知床自然大学院大学設立財団が主催する「知床ネイチャーキャンパス」のプログラムの一つだった。

 道中、学生たちとフクロウの一種やキタキツネ、エゾシカなど、様々な野生動物を見ることができた。

 ツアーも折り返しの段階に入った。ワゴン車は暗闇の道路を低速で走行し、運転手兼ガイドの解説を聞きながら、我々は右前方に見える、美しい、大きな月を眺めていた。

 その時である。

 10メートル程度先の左側に、突如として四足歩行の〝黒い物体〟が姿を現し、悠然と道路を横断する様子が目に飛び込んできたのだ。

 「あ! クマだ!」

 第一発見者となった私は、興奮のあまり、思わずそう叫んだ。

闇の中に突如現れたヒグマ。左側車線の白線を越えたところをカメラがとらえた(WEDGE)

 ヒグマである。しかも、正真正銘、野生のヒグマだ。

 ツアー開始前、「ヒグマを見ることは最近少ない」という情報を聞いていたので、まさか目の前に現れるとは思ってもみなかった。

 取材班は幸運にもそのヒグマをカメラに収めることができた。正確には月を撮影中、ヒグマがカメラのファインダーの中に入っていたのだ。

 推定だが、大きさは1メートルを優に超える。次頁には、同じ写真で明度を高くしたものを掲載しているので見比べてみてほしい。はっきりとヒグマの存在を確認できるはずだ。


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