2024年11月20日(水)

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2024年11月20日

人口減少=人間の生息域縮小
野生動物とどう共存するか?

 こうした〝不安情報〟に接するばかりでは、クマは「駆除すべきもの」だと考えがちになる。

 ただ、先述したニュースの結論で使われる用語もそうだが、そもそも「駆除」という概念は正しいのか。それは、人間側の都合でしかないのではないか。また、「本来、山が棲み処であるはずのクマが、なぜ人間の生活圏に出没するようになっているのか」という〝根本原因〟を我々は見落としてはいないだろうか。

 出没する理由は様々ある。代表的なものとして、ドングリ類の大凶作などが挙げられるが、そればかりではない。人里にある放棄果樹や人間由来のごみもクマの誘引物となる。

 捕獲にあたるハンターの高齢化も著しく、半数以上が60代という状況も深刻だ。野生動物管理に関して、データなどをもとに科学的な知見を持つ行政職員の育成も急務である。

 もう一つ、大きな理由がある。「人口減少」だ。人口増加局面では、野生動物の生息域に人間の生活圏が広がっていったが、これからは逆に人間の生息域が縮小する時代に入る。

 それは、人間がクマをはじめとする野生動物を「押し返してきた」時代から、野生動物に「押し戻される」時代の到来を意味する。

 人口減少に伴い、現状では「人手不足」や「地方消滅」の危機が叫ばれているが、これからは「野生動物とどう生きていくのか」という観点も考えていかなければならない。

 つまり、クマだけを悪者にしても問題は解決しないのだ。

 我々は〝人間側の課題〟にも真摯に向き合い、自分事として対応を考える必要がある。こうした状況に対して、対策の必要性は見えているのに問題を先送りし続けるという「日本的なやり方」では、将来、人間側が大きな代償を払うことになるだろう。「令和のクマ騒動」が人間に問うているものとはいったい何か、読者の皆様と考えたい。

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Wedge 2024年12月号より
令和のクマ騒動が人間に問うていること
令和のクマ騒動が人間に問うていること

全国でクマの出没が相次ぎ、メディアの報道も過熱している。 しかし、クマが出没する根本的な原因を見落としていないだろうか。人間はいかに自然と向き合い、野生動物とどう生きていくべきか。人口減少社会を迎える中、我々に必要とされる新たな観点を示す。


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