近年の異次元の少子化、高齢化の進行下でも、賦課方式の社会保障制度の維持を最優先している結果、現役世代の社会保険料負担が重荷となっているとの指摘が増えてきた。そのためもあってか、最近、社会保険料の引き下げがホットな政策イシューとして取り上げられることが多くなった。
そんな中、社会保障の財源を消費税とするといった案も出ている。こうした改正で私たちの負担は減って手取りは増えるのだろうか。検証してみたい。
社会保障財源のうち社会保険料はほぼ半分
日本の社会保険は、もっぱら現役世代が負担する社会保険料収入だけで成り立つものではなく、税金、すなわち消費税(と赤字国債)が投入されている。
具体的には、国立社会保障・人口問題研究所「社会保障費用統計」により2022年度のデータを見ると、総費用額153.0兆円のうち、社会保険料77.3兆円(被保険者40.7兆円、事業主36.6兆円)、税(及び赤字国債)64.2兆円、その他11.5兆円となっている(図1)。つまり、社会保障の財源のうち社会保険料は50.5%とほぼ半分に過ぎない。
同年度の社会保障給付費は137.8兆円、うち医療、年金、介護の社会保険で115.8兆円と全体の84.0%を占めているので、とても保険の体をなしているとは言えないだろう。