中国が主導する人工知能(AI)分野の国際協力枠組み「世界AI協力機構」(世界人工智能合作組織、WAICO)の設立協定が2026年7月16日、署名された。
その目的はなにか? 翌17日の世界人工知能大会(WAIC)における習近平総書記の演説に端的に表れている。
「グローバルサウスの(AI)能力建設を強化し、デジタルデバイドとAIデバイドを埋め、持続可能な発展を促進し、AI分野で新たな歴史的不公正を生み出すことを避ける」
グローバルサウスが米国AIのくびきから逃れることを中国が支援する。AI外交の表明だ。
実は、日本もグローバルサウスに対するAI支援戦略を打ち出している。今年1月にベトナム・ハノイで開催された日・東南アジア諸国連合(ASEAN)デジタル大臣会合では、日本が東南アジア各国のAI開発やデジタル人材育成での協力が確認された。これだけ見るとグローバルサウスのAI支援をめぐり、日本と中国が角を突き合わせる状況かに見える。
しかし、実際にはより苦々しい現実が存在する。最先端のAI、いわゆるフロンティアモデルを自力開発できる国は、米国と中国だけと言っていい。
AI開発には膨大な資金と多くの人材が必要だ。それだけのリソースを持つ国は他にはない。グローバルサウスはもちろんのこと、日本や欧州など他の先進国も「米中のAIを活用しつつも依存を避ける」という困難な綱渡りを迫られている点では同じ立場にある。
