2026年7月30日(木)

Wedge REPORT

2026年7月30日

強化プランの事例集作成

 金融庁は今夏にも「地域金融力強化プラン」の取り組み事例をまとめる。人口減少と高齢化、そして衰退する地域経済などの課題解決に金融の枠を超えた取り組みが期待されている。

 2003年の「経済財政運営と構造改革に関する基本方針」 の金融改革では、それまでの日本経済の課題であった不良債権問題を2004年度中に終結させることを目指し、公的資金の迅速な投入など「金融改革プログラム」の着実な実施が求められた。超低金利で資金利益が厳しくなる一方で、手数料収入の強化など金融機関はフィービジネスに注力するとともに、コスト削減を進めた。

 さらに、金融持ち株会社の設立など、ビジネスモデル自体も大きく進化した。こうした取り組みで不良債権問題は終息し、金融システムは安定した。足元では「金利のある世界」に入り、金融機関の収益は回復し、収益力が大きく改善してきた。地域金融力を強化し、地域経済に大きな影響を持つ金融機関の金融仲介機能を生かして、地域の抱える課題解決につなげていく考えだ。

(Alona Horkova/gettyimages)

多岐にわたる分野で役割発揮へ

 同プランは金融審議会の「地域金融力の強化に関するワーキング・グループ」で検討されてきたもの。人口減少や少子高齢化が進む中で、持続的に地域が発展していくために金融仲介機能を発揮し、貢献する地域金融機関の役割を2025年12月に報告書(案)で示した。

 設備投資や研究開発におけるファイナンス(投融資)だけでなく、企業のM&Aや事業承継、経営人材の確保、さらにはIT・DX(デジタル・トランスフォーメション)街づくりといった地域開発など、多岐にわたる。

 また、スタートアップ企業など創業・起業のサポートの産業創出や事業の再生支援などでも重要な役割も期待。さらに、金融機関単独ではなく、自治体や内外の事業会社などとの連携による取り組みもカギとなると報告書では示している。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                               

 幅広い分野で金融機関の役割を示した理由のひとつに「金融機関は規模の大小や業種を問わず、多くの事業会社と関わっている」ためだ。融資取引を通じて企業の財務データや設備投資計画、経営層などの人的つながりも強い。そうした情報が貸出審査と直結。さらに、近年はAI(人工知能)の活用で、金融仲介機能そのものの精度は数段向上している。

 ただ、すべての分野で期待に応えることは現実的に厳しい。「ヒト・モノ・カネ」の経営資源は限られている。さらに金融機関の規模や機能、人材が異なる。一方、地域によっても産業構造、就労人口なども異なる。どの分野の産業を強化すれば、活性化につながるのか優先順位をつけることも重要だ。

 今回の強化プランで、「内外のプレーヤーとの連携」や「地域活性化ネットワーク(仮称)の創設」など、幅広い参画も想定している点でもポイントだ。

課題解決へ地域金融機関同士の連携も

 地域金融力強化プランでは示されたテーマに対して、金融機関によって差がある。スタートアップ企業のサポートでは、独自のファンドを持つ大手地域銀に対して、「持たない地域銀行では施策は異なる」(地域銀行関係者)。

 また、自治体との関係も大きなポイント。指定金融機関を多くもつ地方銀行と、そうではない地域金融間とでは、様々な地域プロジェクトでのかかわり方の差は鮮明だ。地域の課題解決を目標とする「地域金融力強化プラン」に異を唱える金融機関はないが、その具体化に向けて取り組みとなる地域金融力には格差があるのは明白。

 低金利時代が長く続き、厳しい収益環境のなかで人員削減や業務などの効率化を図ってきた。その結果、人材は量だけでなく質も大きな課題。そうした課題に対して、直面する課題に対して、共同で取り組むケースが目立つ。

 千葉銀行など10行による広域地銀連合「TSUBASAアライアンス」は、連携により、各行が直面する課題を共有し対応。また、「富士山・アルプスアライアンス」(静岡銀行と山梨中央銀行の連携に八十二長野銀行が参画)は、観光振興プロジェクトを開始。

 全国各地で拡がる地域金融機関同士や異業種とのアライアンスは、「地域の問題解決に共通の課題を持つ地域金融機関が協働することが必要性が高まっている背景のひとつ」(大手地銀)となる。


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