金融機関の経営格差が課題
今回、公表される予定の「地域金融力強化プラン」の事例集(案)は、報告書を踏まえた具体的な取り組みを可視化することで共有し、各地域でさらに応用、活用することが期待される。 ただ、課題もある。地域金融機関の経営格差だ。求められる地域金融力を発揮するための体力(健全性)と能力(人材・ノウハウ)に大きく差があるためだ。
金融機関の収益の大半が資金利益。つまり、貸出金の量が大きく左右する。「金利のある世界」となり、ボリュームが収益力の差が鮮明になっており、金利上昇局面ではその傾向がさらに顕著になってきている。確かに近年、コンサルティングを強化し、手数料収益が伸びているが、規模は比較にならない。
また、貸出金利の構成が出る。具体的には変動と固定金利の比率だ。大手銀行など規模の大きい金融機関ほど市場金利に連動する短期プライムレート(最優遇金利)が多い。今後の金利上昇局面では、貸出金のボリュームの差、変動金利比率の差が資金利益を左右し、その結果が金融機関の経営格差につながる。
日本銀行は6月15~16日の金融政策決定会合で0・25%の利上げを決めた。政策金利は1・0%となり、1995年以来31年ぶりの水準だ。日銀の利上げは金融機関にとって資金利益の増加につながり収益向上の後押しとなる。利上げにより保有する国債の利回り上昇(価格は低下)により含み損が膨らむが、2026年度3月期決算では過去最高益を更新している地域銀行も多い。
全国地方銀行協会によると、「今回の利上げにより2027年3月期決算では経常利益で56行中50行が、当期純利益で57行中50行が増益を予想している(26年中合併予定および単体の業績未公表を除く)」という。日銀の利上げで金融機関の収益は向上し、地域金融機関の経営体力の増強は続く見通しだ。しかし、その効果は規模によって異なるのが実態だ。
問われる存在意義
金融機関を通じて地域の社会課題解決につなげる「地域金融力強化プラン」の実効性は健全な地域金融機関の存在がカギとなる。今後、日銀による政策金利は「2028年度末までに1・5%まで引き上げられる可能性がある」と大手シンクタンクは予想しており、金融機関の収益が拡大するのは確実だ。
しかし、金融機関だけ最高益を更新し、地域経済が衰退するという図式はステークホルダーには受け入れられない。また、金融機関だけでは、地域課題解決には限界がある。「地域金融力強化プラン」は、収益力を回復した金融機関がハブとなり、官民の多くのプレーヤーとの協業が重要だ。守秘義務を大前提に金融機関が有する知見を最大限生かすことが期待される。持続可能な地域地域経済の確立に向け、金融機関には地域における自らの存在意義を再考する必要がある。
