2026年9月7日(月)

Wedge REPORT

2026年9月7日

 そもそも駆除だけでクマの被害を防ぐのは不可能だ。物理的に大規模な駆除を行うだけの人員もいないし、種を絶滅に追い込むわけにもいかない。

 だから「出没個体の追い払い」や「人里に侵入させない予防」が重要となる。これはクマだけでなく、シカやイノシシなどの害獣でも同じである。

 しかし、日本には、そうした「追い払い」や「予防」の指導などを担える人材が少ない。出没してからあわてて猟友会に駆除を頼むのでは、解決はほど遠いだろう。

まだまだある手立て

 単にクマを遠ざけるだけではない。出没するクマの観光化を模索する動きもある。アメリカやカナダ、ルーマニアなどでは野生のクマのウォッチングツアーが盛んだ。

 森の中にいるクマを観察することが観光のアクティビティの一つになっているのだ。それは一般人がクマの生態を学ぶチャンスにもなる。地元からすると、クマがいることで収益を上げられるのなら、駆除だけに走らなくなるだろう。

 北海道では、船で沖合から海浜のクマを観察するツアーなどを行うところもあるが、まだ小規模で、一般人にクマへの理解を深めるには力不足だろう。

 世界の情勢と対策を俯瞰すると、日本が取るべき手法も見えてくる。

 保護一辺倒ではなく、頭数管理する制度が必要であること。そのためには動物の専門家の養成と出没地への配置が欠かせないこと。一方でクマのいる地域に入る登山者や観光客、そして地域住民の意識を高めて、餌となるものを排除・管理すること、出没した際の対応を身につけること……。クマと共存していくためにできる手立てはまだあるはずだ。

令和のクマ騒動が人間に問うていることアマゾン楽天ブックス
Facebookでフォロー Xでフォロー メルマガに登録
▲「Wedge ONLINE」の新着記事などをお届けしています。

新着記事

»もっと見る