2026年9月17日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年9月17日

 ウォールストリート・ジャーナル紙コラムニストのオグレディが8月23日付け同紙に、キューバでの体制転換が実現した場合に、どのように体制を移行させるかについての亡命キューバ人実業家の構想を紹介する論説を書いている。要旨は次の通り。

(Pavlo Stavnichuk/Roman Prysiazhniuk/timyee/gettyimages)

 米国のルビオ国務長官は、キューバの軍事独裁政権の最高幹部に対する圧力をかつてないほど強めているが、もし共産党の有力者を権力の座から退かせることに成功した場合、キューバでは何が起こるのだろうか。

 米国には、圧力キャンペーンに対して現体制に代わるものがないまま、キューバが混乱状態に陥る懸念に根ざすある種の慎重論がある。そうなれば、政権崩壊を主導した米国が、事後処理の責任を負うことになるだろうが、米国政権にとって、新たな国家建設への冒険など、最もやりたくないことの一つだ。

 キューバ側は、そのような結末を米国が恐れて、ルビオの取り組みが頓挫すると見ているのかもしれない。しかし、警察国家の崩壊が、必ず失敗に終わるわけではないことがキューバ政府に明確になればなるほど、事態は好転するだろう。

 確固たる財産権の保障と政治的安定さえあれば、キューバに投資しようとする資金や人的資本は豊富に存在する。課題は、米国の緊急支援、島外の民間のリソース、そしてキューバ人の努力を組み合わせて、その状況を実現することにある。

 ワシントンを拠点とする亡命キューバ人起業家であるラファエル・ロメウ氏は、この課題の複雑さを認めつつも、7月にキューバ・ディアスポラ・アメリカ博物館で開催された「アイデア・フォーラム」において、「Cuba Day Zero:安定化、復興、そして投資への道」と呼ぶ構想の基本を概説した。

 ロメウ氏は、キューバ政府が公務員、警察、医師への給与を支払い、イラクでの「バース党排除」の事例のような治安の崩壊を回避するためには米国の支援が不可欠だと論ずる。燃料や食料のほか、国家機関の改革に向けた支援も求められる。しかし同氏は、「キューバの復興は、初日から規律ある法的な枠組みの下、民間投資とキューバ系移民の資本によって賄われるべきだ」と強調している。

 ロメウ氏は、キューバの極めて中央集権的な法制度は、新指導部にとって有利に働くので、「新たな政令を制定すれば、経済のルールを数年ではなく数日で書き換えることが可能だ」と指摘する。制裁や国際銀行取引への制限を解除することは、議会との政治的な調整が必要になるかもしれないが、技術的にはそれほど困難ではない。資金を必要とする暫定政府(キューバ人、キューバ系米国人、そして信頼できる米国政府高官等で構成される委員会を想定)には、投資家に対して「法的確実性」を保証する能力が求められる。


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