7月1日から行われる高市早苗首相のインド訪問は、非常に大事な訪問になりそうである。それは、アメリカにおけるインドの戦略的な位置づけが変わりつつあるからだ。日本がインドをつなぎとめて、インド太平洋、日米豪印の戦略対話QUAD(クアッド)といった戦略が維持されるかどうか、問われる。
アメリカで何が起きているか
最近のアメリカの動きは何か。例えば、シンガポールで行われたシャングリラ会議において、ヘグセス国防長官は「インド太平洋」という言葉を使わず、「太平洋」とだけ呼称した。そして、アメリカ軍の統合司令部「インド太平洋軍」という呼称も、「太平洋軍」とした。
アメリカ政府全体で、QUAD、日米豪印4カ国の対話も、もともと「4カ国の安全保障対話(Quadrilateral Security Dialogue)」だったのだが、これから「安全保障(Security)」をとって「4カ国の対話」に変えた。
ここから、考えられるのは、アメリカは、「インド太平洋」「QUAD」といった構想に対する優先順位を下げつつあることを示している。
もともと「インド太平洋」「QUAD」が登場したのは、日本の安倍晋三首相が提唱したからだ。2007年、インド国会で演説した安倍首相(当時)は「二つの海の交わり」という演説を行い、インド洋と太平洋を一体として捉える考え方と、その際に、アメリカとオーストラリアと協力するQUADの考え方を同時に提唱した。
この演説を紹介したインドの論文が「インド太平洋(Indo-Pacific)」と呼称、便利な言葉だったので、次第に広がっていったのである。そして、安倍元首相はこの考え方を積極的に関係国に発信し、アメリカやインドが受け入れていった経緯がある。
