2026年6月30日(火)

インドから見た世界のリアル

2026年6月30日

 アメリカは、まだ、インドの重要性を全く忘れたわけではない。シャングリラ会議におけるヘグセス国防長官の演説でも、南アジアやインド洋におけるインドの重要性について述べている。

 また、主要7カ国首脳会義(G7サミット)にゲストで呼ばれたモディ首相とトランプ大統領は会談した。そして記者団の前で、トランプ大統領は「モディ首相でいる限り、アメリカはインドを守る」と述べた。

(AP/アフロ)

 ただ、その言葉には続きがあった。トランプ大統領は「新しい指導者ならわからない」と付け加えたのである。

 インド側の反発も激しい。最近の傾向は、トランプ大統領から優先順位を下げられたインドとヨーロッパの急接近だ。インドとヨーロッパは、今年に入り、世界の貿易の2割を占める自由防衛協定を締結に至ったが、それだけでなく安全保障協力の協定も締結した。

日本の国益からインドは重要

 この動きは、日本の観点から見たら、どうであろうか。そもそも、「インド太平洋」も「QUAD」も、日本が提唱した構想である。

 日本とインドが手を組めば、中国は日本の5~6倍に達する莫大な軍事支出を、日本向けとインド向けに分けなければならなくなる。だから、インドとの連携は、日本の国益にとっては、とても重要なのである。

 ではどうしたらいいか。日本にはできることがある。日印関係を安定させ、日米関係も安定させ、米印との鎹(かすがい)になる役割だ。QUADの会議でも、米印が会いたくなくても、日本に会うためなら開かれる。だとすると、高市首相の訪印では、特に、3つのことが求められるだろう。

 1つ目は、モディ首相との間で、対中戦略を、率直に意見交換してくることである。日本の戦略の中でインドに求めていることは何か。日本は米印にどうあってほしいのか。モディ首相がアメリカに対して感じている愚痴まで、いろいろ聞きながら意見交換してくるべきである。対面の会談の意味は、そういった外に出せないことを意見交換してくることに意味がある。

 2つ目は、その日本の戦略が、インドにとってどのような利益になるのか、明示することである。中国が印中国境に戦力を配置することは、同じ戦力や予算が日本向けに使われない点で、日本にとって良い状況だ。しかし、それはインドにとって何の利益になるのか。


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