「世界の繁栄と平和をもたらすことができるのはドナルド(トランプ)だけだ」。高市早苗首相がこう断言したのは、去る3月、ワシントンのホワイトハウスで行われた日米首脳会談でのことだった。だが、そのトランプ大統領のこれまでの実績を振り返る時、そこには多くの疑問符がつきまとう。
ニュース記事にもなる〝公式発言〟
高市首相が初めて訪米して行われた今回の日米首脳会談および夕食会については、外務省が即日、詳しい内容を公表した。だが、報道陣を前にした二人の冒頭のやり取りの中で、高市首相が大統領を最大級の賛辞で持ち上げた肝心の部分については、なぜか割愛されている。
しかし、発言はライブで内外に放映されており、「中東情勢含め世界が厳しい状況にあり、世界経済も困難に直面しているが、私は、世界の繁栄と平和をもたらすことができるのは、あなた、ドナルドだけだと思っている」と、大統領の顔色をうかがいながら賛辞を述べている。
これまで歴代大統領が、世界各国首脳を招きホワイトハウスで行う会談は、ほとんど例外なしに、冒頭部分だけ報道陣に公開され、そこではホストとしての大統領の歓迎のあいさつに続いて、招かれた側の外国のゲストが簡単な答礼を述べ、カメラの放列の前で握手するしきたりになってきた。
この間の簡単なやりとりは儀礼的なものとはいえ、公式発言としてホワイトハウス広報資料の中にも記録され、ニュース記事に引用されることが少なくない。
その意味で、軽いジョークを交えた二人だけの非公開の場での会話とは一線を画したものであり、それなりの重みがある。
問題は、高市首相が内外報道陣の前で披露した「世界の平和と繁栄をもたらすことができるのはトランプ大統領のみ」との個人的見解が、果たして当を射たものかどうかだ。
