2026年6月29日(月)

トランプ2.0

2026年6月29日

外務省の〝適切な対応〟

 トランプ氏の「世界平和」への貢献については、昨年5月、大統領自身が「インド・パキスタン間の武力衝突を終わらせた」ことなどを理由に、25年ノーベル平和賞受賞対象者とするよう、ノルウェー財務相に電話で働きかけたことが伝えられた。また、同年10月、東京で行われた日米首脳会談の場では、高市首相がトランプ大統領をノーベル平和賞に推薦する意向を表明した。

 しかし、結果的に受賞できなかったことを受け、トランプ氏はノルウェーの首相宛に書簡を送り、「平和賞を受賞できなかったため、自分としてはもはや『平和だけを考える義務』を感じなくなった」と腹いせ紛れの不満を表明している。 

 いずれにしても、ノーベル平和賞選考委員会が昨年末、トランプ氏を受賞対象外とした背景には、米国大統領として国際秩序の新たな構築どころか、むしろ破壊の方にくみしてきたとの客観的認識があったことは間違いない。

 さらに、高市首相が世界平和や繁栄の推進について「トランプ大統領のみができる」としたことは、これまで多年にわたり、活動を続けてきた国連はじめ多くの国際機関、非営利組織、経済団体などの地道な努力を軽視したと受け取られる恐れもある。幾多の紛争当事国関係者や各国指導者の問題解決に向けた取り組みにも、水を差すことにもなりかねない。

 この点、我が国の外務省が、首相の問題発言部分について、好ましくないと判断したのか、今回日米首脳会談の内容を説明したプレスリリースの文中から削除したことは、きわめて当を射た措置だったといえよう。

 ちなみに、日本側が公表した「同首脳会談冒頭発言」は以下のようになっている: 

 「トランプ大統領から、高市総理への支持に言及の上、高市総理につき『非常に人気があり、力強く、素晴らしい女性』と称賛し、素晴らしい評判の大国で、高市総理は、素晴らしい仕事をしている旨、述べました」

 「これに対し、高市総理から、インド太平洋における安全保障が厳しさを増す中、トランプ大統領の日米同盟への揺るぎないコミットメントへの感謝を述べるとともに、日本と米国が共に強く、豊かになるための協力について議論を深めたい旨、述べました」

Facebookでフォロー Xでフォロー メルマガに登録
▲「Wedge ONLINE」の新着記事などをお届けしています。

新着記事

»もっと見る