インドがインド洋で中国の潜水艦対策を行うことは、日本にとって利益になる。しかし、それはインドにとってはどのような利益になるのか。日本は、インドに日本と組むことでどのような利益があるのか、明示する必要がある。
具体的には、印中国境における道路やダム、飛行場といったインフラ建設、工作機械の輸出などは支援になるはずだ。インドで日印共同開発の護衛艦を建造し、その建造設備も整え、海上自衛隊がソマリアへの海賊対策などでインド洋に行く時の艦艇もそこで整備するなど、Win-Winの取引も考えられるだろう。
そして、何よりも重要なことがある。アジア主導を前面に出すことだ。日本とインドはアジアの国だ。「インド太平洋」や「QUAD」を日本とインドが主導して、米豪とともに安全保障環境を整えるのは、アジアがアジアの安全保障環境を、自ら整えていくことなのである。そのことを強調しておくべきだ。
インドは、イギリスをはじめとする西側諸国の植民地だったから、このアジア主導、という言い方には、感情的に応じてくる部分がある。アメリカに対してそれを強調する必要はないが、インドの目の前では言っておくべきである。
思い出すべき安倍元首相の演説
3つ目は、モディ政権そのものに対して、重視していることを印象付けてくることだ。世界で一部のインド専門家がモディ政権への批判を繰り返している。その多くは、インドの民主主義には問題があるというものだ。
しかし、インドの民主主義には一定の問題があるのは、昔からだ。それでも、インドの選挙では、与党が議席を減らしたり、政権交代が起きてきた。独立以来クーデターも起きていない。
インドの民主主義は、大まかには機能しているといっていい。そして、その結果として、民意に支えられる形で、モディ政権は一定の安定性を持っている。
高市首相は、モディ首相の実力を評価し、モディ首相との個人的な関係を築いてくるべきである。安倍元首相との思い出話をすることなどは、いい効果をもつだろう。もともとトランプ大統領との関係が良い高市首相が、モディ首相とも良い関係を築けば、それはQUADを支える安倍元首相の再来である。
日本は、07年に安倍首相(当時)がインド国会で演説した言葉を、再度、思い出すべきである。「強いインドは日本の利益であり、強い日本はインドの利益である」と言ったのだ。
ほとんどの日本の首相からは、なかなか聞けない言葉である。でも、高市首相なら、もう一度いえるだろう。
