2026年9月17日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年9月17日

 これが「根本的変化」につながるかは依然として疑問であるが、事実上の権力者であるラウル・カストロはすでに高齢であり、ミゲル・ディアス=カネル大統領自身にカリスマ性がある訳ではないので、将来、指導者が体制内で交代してそれを契機にさらに改革が進む可能性もないわけではなかろう。

キューバ国民は変化を受け入れるのか

 ルビオら米国政府には、変化が実現した際の体制移行のシナリオについて具体案がある訳ではなく、この論説はそのような事態に備えて移行期の政策を検討すべきだとの問題提起である。ロメウの提言にはそれなりの意義はある。特に、在米キューバ人の改革への熱意を対キューバ投資に活用するといった点や、国営企業民営化についても現在の所有者に対しある程度の対価を保証するといった配慮は、体制移行を円滑化するものとして注目される。

 しかし、このようなきめの細かい提言は、確かに意義があるが、そもそもそのようなプロセスを許容する政治状況が実現できるのか、提示された構想が米国政府にとって受け入れられるものかについては疑問があり、また、個人を標的とする制裁措置により現政権指導者が退陣し亡命を選択する可能性への期待も含めて、オグレディの見方は、現実から乖離した希望的観測にすぎないようにも思える。

 米側は制裁を継続しキューバ側は体制を維持しつつ、小幅な譲歩で交渉を試み、指導者の世代交代があれば市場経済化は、多少は進むであろう。「根本的変化」には至らない状態が続くのではないかと思えるが、キューバ国民がどこまでそのような事態に耐えることができるのかにも寄るであろう。

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