今回の判決で、来年27年4~5月のフランス大統領選挙に立候補できることになったルペンはフランスの民間テレビ局TF1の7日夜8時のニュース番組に出演し「今夜、私は大統領選挙の候補者であり、この考えを変えるつもりはあません」と早々にRNの大統領候補になる意志を正式に表明した。
破棄院の判決の行方と選挙戦の可能性
判決直後の世論調査でも、大統領決選投票ではどの候補者との対決でもルペンが勝利するという結果が出ている(IFOP〈フランス世論研究所〉)。しかし、だからと言って、ルペン側が楽観視できないのも事実だ。今後ルペンが選挙活動をどのようにして行うのか、行えるのか。厳しい戦いが予想される。
控訴審の判決では、GPS電子監視ブレスレット着用の期間を1年と定めており、大きな縛りとなっている。ルペンはこれまで、「ブレスレットを着用したまま、選挙運動はできないから、その場合には立候補しない」と言ってきた。しかし今回の判決が出た直後には、最高裁にあたる破棄院に上告すると言明した。
自分は無罪であるとともに、破棄院でブレスレット着用の刑は無効ないし減刑されるはずだから立候補には正当性があると、ルペンは強弁する。
ただ、ブレスレットを着用したままの選挙運動がどれだけ可能なのか、その期間はどのくらいになるのか。破棄院でどのような裁定が下るにせよ、今回の控訴院の判決は、司法が有罪とし、刑を科したが、その実行そのものは国民の投票による裁き、そして政治の決定にその最終的判断を委ねたというのがその真意だ。それは実はパリ軽犯裁判所の第一審の判決の本質でもあった(拙稿同上参照)。
司法と政治の競争
こうした政治的判断を重くみる風潮はフランスのような自由を重視する国の特徴であるともいえる。控訴院の裁判官は自らの判決に対して判決後、「『立候補の自由』、そして『有権者の選択、表現の条件、民主的投票の自由』を尊重した」と語った。「あなたはこの判決に満足ですか」というメディアの質問に「部分的には、ね」と繰り返した。
司法で裁けるのはここまでだという気持ちを伝えたかったのではないか。上辺では共和主義者を名乗りつつ、その真意は疑わしいとはいえ、世論調査でトップの政党の代表者を司法の論法だけで裁いてよいのか。
本件で言えば、ルペンが言うように議員秘書の給与や資金の流用は自分たちだけではない、自分たちはむしろ政治の生贄にされた、という言い分の判断は難しい。その意味では政治家のスキャンダルがあまねく政治的動機に発しているといって過言でないことは周知のことだからである。
今回の例で言えば、悪例の先例となるかもしれないが、大統領の最有力候補を司法の手続き的解釈で抹殺してよいのか。政治の問題だ。これはどこにでもある永遠の課題だ。
