冷凍食品大手のニチレイは2026年7月13日、不正アクセスによるシステム障害の発生を公表した。影響は、ニチレイロジグループ各社の冷蔵倉庫における入出庫業務と、ニチレイフーズの冷凍食品出荷業務に及び、被害範囲は国内に限定されるとされた。
同社は発生当日に緊急対策本部を設置し、顧客や取引先の個人情報、顧客データの保護を最優先に、グループで使用するシステムの遮断措置を講じた。7月15日の第2報では、調査の結果、同社のサーバーがサイバー攻撃を受けたことを確認したと発表した。
この事例は、25年9月に発生したアサヒグループホールディングスへのサイバー攻撃を想起させる。両社はいずれも食品関連企業であるが、事業構造が大きく異なる。その違いは、同じサイバー攻撃でも被害の現れ方と社会的波及を大きく左右する。
業態の違いが決める被害の「向き」
最も本質的な違いは、両社の事業構造にある。アサヒは自社製品を製造・販売する企業である。システム障害によって停止したのは、主として自社の受注や出荷だった。被害は、アサヒの製品が店頭から消えるという形で現れた。困ったのは消費者や小売業者だが、供給が止まったのは基本的にアサヒ製品であり、一定程度は競合製品による代替が可能だった。
これに対してニチレイは、食品メーカーであると同時に、グループ外売上比率が92%に達する低温物流事業を展開している。今回の障害で止まったのは、ニチレイの自社製品だけではない。約5000社の荷主が扱う商品の流れそのものが滞ったのだ。ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)のチキン、くら寿司の食材、生協の宅配、学校給食など、業種を横断して他社の事業継続に影響が及んだ点で、同程度のシステム障害であっても社会的な波及の構造は大きく異なる。
アサヒ型が「一メーカーの供給支障」であるとすれば、ニチレイ型は「物流インフラの機能停止」である。この違いは、サイバー攻撃の被害を考える上で極めて重要である。

