11月3日の米中間選挙に向け、「民主社会主義候補が台頭し、民主党が乗っ取られるのではないか」といった論調が出始めている。例えば、USA TODAYに7月17日付で掲載された、コラムニストのポータスによる論説‘Warning for Democrats' future is lurking in the GOP's past’もその一つであり、「かつてエスタブリッシュメントへの憤懣が共和党を「トランプ党」へと変貌させたように、今民主党主流派の弱さへの不満が同じように民主党を大きく変える恐れがある」と警告している。
共和党の変貌は、オバマケアを阻止できず、主流派が選んだ大統領候補で選挙に勝てなかったことで支持者の主流派への憤懣が沸騰したのがきっかけだが、怒りが表面化したのは2014年の中間選挙だった。下院共和党のナンバー2であったエリック・カンター院内総務がバージニア州の予備選で新人のティーパーティーの候補に敗北し、指導層に衝撃が走った。こうした機運にのり、この1年後にトランプが大統領選挙への出馬を正式に表明した。
トランプが大統領に就任すると、財政保守派であった下院議長のポール・ライアンはトランプの財政出動や予測不可能な政策運営と合わず、政界からの引退を余儀なくされた。そして23年秋、マッカーシー下院議長は史上初の下院議長解任の憂き目をみた。
連邦政府閉鎖を避けるために民主党票に頼ってつなぎ予算を成立させたが、強硬右派が民主党との妥協を許さなかった。その1カ月後の大統領選挙でトランプが2度目の勝利を収めた。
それでは、最近の論調が危惧するように、民主党は民主社会主義派の党になる可能性はあるのだろうか。16年の大統領選挙でヒラリー・クリントンと党指名を競ったのは進歩派の大御所バーニー・サンダースだった。20年の大統領選挙ではサンダース阻止が、バイデンが民主党候補になった大きな理由の一つになるほどフリンジとみなされた急進左派が本流を脅かした。
背景には18年の中間選挙での急進左派のスター誕生があった。プエトリコ系移民の子で当時29歳のアレクサンドラ・オカシオ=コルテス(AOC)が10期下院議員を務め民主党幹部会の一員でもあったジョー・クローリーを予備選で破った。
そして下院議員就任早々、マーキー上院議員とともに民主党のグリーン・ニュー・ディールに向けたビジョンを発表し、連邦レベルで一目置かれる存在となった。年齢制限がなければ大統領候補になると主流派から怖れられたほどカリスマ性と政治技能に長けている。
