2026年5月27日(水)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2026年5月27日

不安定化する東アジア

 トランプの台湾政策への懸念は、台湾だけでなく、日本、韓国、フィリピンなどの同盟国にも動揺をもたらす。この修正を図るためか、トランプは20日に「彼と(頼清徳総統と武器売却をめぐり)話すつもり。私は誰とでも話をする」と述べた。

 一方で同日には、アメリカ海軍長官代理が議会証言で、対イラン作戦での弾薬確保を理由に台湾への武器売却が一時停止されていることを明言した。これらはトランプ政権に、一貫した原則や戦略性が欠如していることをあらためて露呈しており、それこそが東アジアの不安定化に拍車をかける。

 一方で中国は、アメリカだけでなく、ロシアも手玉にしている。19日にはウラジミール・プーチン大統領が訪中し、20日に習と会談した。

 これは「中露善隣友好協力条約」25周年記念の名目で、習が招待したものである。しかし、習がプーチンを「古い友人」と呼んでも、ウクライナの泥沼にはまり、もはや中国の支援なしで乗り切れないプーチンは、対等な立場にない。

 新たな従属関係の中、両者は「一方的覇権主義の横行」を非難し、「公正で合理的な国際秩序を推進」をするとして、「包括的戦略協調の強化」を謳った。

 中国は、トランプの蒙昧による米国の衰退加速と、ロシアの従属化を利用し、東アジアの基盤を固めようとしている。台湾統合への動きを加速させ、返す刀で身近にあって最も障害となる日本を、「ファシズムと軍国主義を復活させる挑発行為」(中露首脳会談の共同声明)をなす存在とレッテルを貼り、次に屈服させるべき標的に仕立てている。トランプ帰国後、中国海軍は南西諸島・沖縄本島の近海から西太平洋へ空母や最新鋭フリゲートを航行させ、露骨に活動を活発化させている。

 アメリカ大統領という重責を、どこまでも理解していないトランプと、その2026年5月訪中は、まさに中国が望む「新たな大国関係の位置づけ」の契機となったのである。

※本文内容は筆者の私見に基づくものであり、所属組織の見解を示すものではありません。

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