2026年6月26日(金)

エネルギー依存国家・日本

2026年6月26日

目下、戦後営々と築き上げてきた国際秩序が音を立てて崩壊している。戦後日本の〝降伏なき敗戦〟の教訓に学び、新たな国づくりを進める時だ。「Wedge」2026年7月号に掲載されている「エネルギー依存国家・日本 持たざる「弱み」を「力」に変えよ」の記事の内容を一部、限定公開いたします。

 日本は、資源・エネルギーが乏しく、海外から物資を運ぶシーレーンも長く、国際環境の変化にきわめて敏感な「ひよわな花」である。

世界の全ての国から「生かされている」日本。凋落からの再生に必要なこととは(BUDDHIKA WEERASINGHE/GETTYIMAGES)

 米国の国際政治学者で、カーター大統領時代に大統領補佐官を務めたズビグネフ・ブレジンスキーが『ひよわな花・日本』(サイマル出版)を著したのは、第一次石油危機前年の1972年のことである。ブレジンスキーは、当時急速に経済パワーとして台頭していた日本の根本的脆弱性を見抜いていた。

 41年8月1日、米国による対日石油禁輸によって日本は事実上の「詰み」を突きつけられたが、あの時に露呈した国家としての構造的弱点は戦後も何ら変わっていない。今回のホルムズ海峡危機は、その現実を改めて日本人に突き付けている。

 それだけではない。かつて、米国の理論経済学者であるフランク・ナイトは、「リスク」と「不確実性(uncertainty)の違いに注意を喚起した。「リスク」は結果の確率を推定できる状況を指すが、「不確実性」は、どんな手段をもってしても結果を予測できない挑戦である、と説いた。ただ、この非条理なダイナミクスこそが利潤を生み出す源泉であり、資本主義の核心であると、マーケットの真実を鋭く言い当てたわけだが、その力学は地政学において同様に作用する。

 私たちは今、〝不確実性が極めて高い時代〟を生きている。その危機を機会にできるかどうか、が試されているということでもある。

 こうした状況の中、私たちが直視し、向き合わなければならない課題を二つ、挙げたい。

 一つは、日本にとって、国際秩序とは「酸素」に等しいということだ。日本は世界のどの国よりも法の支配に基づく「自由で開かれた国際秩序」を必要としている。こうした国際秩序が崩壊し、世界が勢力圏や地域ブロック、保護主義、経済の武器化に傾斜するのを少しでも防ぐよう、日本は国際主義的な立場を取り、ルール・メーカーとして世界に参画する必要がある。

 もう一つは、明治の開国以降、日本は二度の敗戦を喫したという認識を持つことだ。二度目の敗戦とはすなわち「戦後敗戦」のことである。


新着記事

»もっと見る