日本が喫した「戦後敗戦」
見据えるべき地政学的変化
宮澤喜一元首相の言葉を借りるなら、第二次世界大戦は復讐する気にすらならないほど「ぼろ負けに負けた」経験であった。
45年9月2日、東京湾上の米戦艦ミズーリ号の甲板で執り行われた降伏調印式で、重光葵外相は杖をつきながら甲板へ上がっていった。日本の「降伏」が国民の目にも明確になってこそ、私たちは旧来の国家像を捨て、再出発することができたのだと思う。
しかし、二度目の敗戦、すなわち「戦後敗戦」は事情が異なる。詳しい内容は今年3月に上梓した『戦後敗戦』(実業之日本社)に譲るが、日本の凋落を形づくってきた戦後の象徴的な敗北には、「降伏」という儀式がない。つまり、戦後日本は〝降伏なき敗戦〟の状況を引きずってきたということだ。
経済超大国にのしあがろうとする中、日本は世界に飛躍した半導体産業を失い、デフレに喘ぎ、グローバル化とネット化の波に乗り遅れた。冷戦後の「失われた時代」に「戦後敗戦」が縮図のように凝縮している。
にもかかわらず、「戦後敗戦」の現実を、政治家も国民も直視してこなかった。このままではまた、同じ敗北を繰り返すのではないか。これでは日本の再生は覚束ないのではないか。
※こちらの記事の全文は「Wedge」2026年7月号に掲載されている「エネルギー依存国家・日本 持たざる「弱み」を「力」に変えよ」で見ることができます。
