2026年5月28日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年5月28日

 豪グリフィス大学教授のKai HeとHuiyun FengがForeign Affairs誌(web版)に4月20日付で掲載された論説で、「米中競争は構造的なものであり、選択の問題ではない。ただし、競争を管理する場が必要であり、それを実現する場としての東南アジア諸国連合(ASEAN)の役割が重要だ」と論じている。要旨は次の通り。

(Fredex8/gettyimages・White House/Planet Pix/ZUMA Press/アフロ)

 2025年末に韓国でトランプと習近平が顔を合わせた際、トランプ氏はこの会談を「G2」と表現した。

 かつて米中両国は「G2」という呼称を受け入れなかった。米国は中国に対等性を与えることに難色を示し、中国は、米国が中国に、国際的な負担を受け入れさせようとしているのではないかと疑っていた。

 しかし、トランプが「G2」という用語を用いたことは、避けがたい真実を露呈させた。すなわち、アジアにおいて、米中は激しく競い合いながらも、安定確保のために協力しなければならないということだ。

 両国は、紛争緩和において重要な役割を果たしている地域機関の存在を認めなければならない。ASEANは、緊張を管理するための包括的枠組み、そして自制を持続可能なものにする外交の場を提供している。

 アジアにおける持続的平和を実現するには、米中間の関与とASEANの外交プロセスを組み合わせた、いわゆる「G2プラス」と呼べるような枠組みが最善である。このような枠組みは、米中競争という現実を否定するものでもなければ、それが解決可能であると仮定するものでもない。

 ASEANを中心とした多国間主義は、地域全体の信頼構築において、重要な役割を果たしてきた。対話の文化を育み、信頼醸成措置を地域に定着させてきた。ASEANの真の価値は、地域外交への信頼を醸成し、緊張が紛争へと発展するのを防ぐ能力にある。

 ASEANの協議を通じて合意形成を重んじる文化は、しばしば「遅すぎる」「慎重すぎる」等と批判されてきた。しかし、この文化こそが、政治情勢により実質的な協力が困難な状況下にあっても、ASEANが対話を維持し続けることを可能にしてきた。

 逆説的だが、ASEANの見かけ上の弱さは、同時にその強みの一つにもなり得る。米中に脅威を与えないので、ASEANは二国間関係が緊張している際にも、政治的に受け入れられる対話のための場を提供する。その価値は、大国間の不信感を解消することではなく、その不信感が外交的麻痺へと固着するのを防ぐことにある。「G2プラス」は、持続的な米中関与とASEANの外交プロセスに根差した、危機管理、多国間協議のための枠組みとなる。


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