米中間の競争は構造的なものであり、選択の問題ではない。それは、力関係の変動、対立する戦略的利益、そして相互の疑念に起因している。しかし、構造的競争は、一方が勝ち一方が負けることを意味するわけではない。米中対立を管理するのではなく、完全に「勝ち抜こう」と試みることは、軍事衝突の可能性を高めるだろう。
「G2プラス」という枠組みは、米中双方に利益をもたらすだろう。米国は、同盟国を不安にさせたり、地域を大国間の駆け引きに委ねているかのように見えたりすることなく、中国と競争できるようになる。一方、中国は、覇権ではなく地域のリーダーシップを求めていることを近隣諸国に説得する必要なく、より大きな安定化の役割を担うよう促されることになるだろう。
米中は、地域を巻き込んで沈没するような形で敵対関係になることは避けなければならない。課題は競争を終わらせることではなく、競争が軍事的な対立へとエスカレートするのを防ぐために、競争を管理することだ。
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「G2プラス」が容易でない二つの理由
上記論説の、米中競争におけるASEANの「対話の場」としての重要性についての指摘は、その通りである。ただし、軍事的対立へとエスカレートするのを防ぐためには、米中の関与とASEANの外交プロセスを組み合わせた「G2プラス」といった枠組みが最善との議論は、ASEANの現状などに鑑み、実現は容易ではないと思われる。二つの理由がある。
一つ目の理由は、ASEANが多数の問題に関して一枚岩でないからである。ASEAN内では、タイ・カンボジア紛争、ミャンマー軍事政権への対応、ロヒンギャ、南シナ海、対米貿易政策等への対応に差があり、これらを背景に各国と米中との距離にも差異がある。
例えば、4月にシンガポールのISEASユソフ・イシャク研究所が公表した報告によると、中国か米国のいずれかと同盟を結ぶことを余儀なくされた場合、「中国を選ぶ」と回答した割合がASEAN加盟国平均で52.0%と、2年ぶりに過半数を超えた。
国別にみると、インドネシア、マレーシア、シンガポール、東ティモール、タイ、ブルネイの6カ国で中国を選ぶと回答した割合が50%を超えた。その一方で、フィリピンやベトナムだけでなく、ミャンマー、カンボジア、ラオスでも米国が中国を上回ったのは興味深い。
