2026年5月28日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年5月28日

 また、昨年9月に北京で開催された抗日戦争勝利80周年記念には、インドネシア、カンボジア、マレーシア、ミャンマー、ラオス、ベトナムの首脳が参加した。

 他方、南シナ海問題では、中国は、現在フィリピンをターゲットにして、海上での放水、諜報工作等を強化しているが、ベトナムなど他の国へは融和策を実施している。また、ミャンマーに関するインドネシアおよびマレーシアの見解は、軍事クーデター、ロヒンジャ問題もあり、引き続き厳しい。イスラム教徒の国民が多い国々には、新疆ウイグル問題での対中不信感もある。

 二つ目の理由は、米国の対ASEAN関与の度合いは、政権によって濃淡があるが、中国はASEAN(特に議長国)を自国の有利になるように露骨に活用しようとするからである。特に、中国への経済的依存度の高いラオス、カンボジア、ミャンマー、ベトナム等インドシナ半島諸国が議長国の際は懸念される。

 例えば、12年カンボジアが議長国の時に、フィリピンおよび日米外相は、ASEAN外相会議の共同声明でスカボロー礁をめぐる紛争に関する一文を入れるように求めたが、中国は議長国カンボジアに働きかけ、史上初めて共同声明は発出されなかった。

高い日本への信頼

 最後に、日本とASEAN関係について少し述べる。ISEASユソフ・イシャク研究所によると、日本は「ASEANにとって最も信頼できる国・地域」で、8年連続で1位を維持した。2位は欧州連合(EU)、3位は米国であった。トランプ政権の関税政策等は米国への信頼を損なっているが、ASEANの中国に対する「不信感」は高く、「経済的威圧」に対する警戒感も根強い。

ベトナムを訪問した高市首相(首相官邸ホームページより)

 5月2日、高市早苗首相は、ハノイで外交スピーチを行い、「新たな国際情勢の中でFOIP(自由で開かれたインド太平洋)の重要性」を強調した。また、「ASEANは、複雑に絡み合った『相互依存関係の中で』、自らの手で決めるために必要な『自立性』と『強靭性』を必要としており、それがFOIPの実現に欠かせない。日本はそのために尽力する」と訴えた。時宜を得た内容であり、今後の具体化が注目される。

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