2026年5月25日付フィナンシャル・タイムズは、トランプ大統領が戦争終結後もイランがいつでもホルムズ海峡を閉鎖できることを認める悪い合意を結ぼうとしているというギデオン・ラックマンの論説を掲載している。
トランプ大統領は、4月5日、「ホルムズ海峡を開けろ、さもなければ地獄を見ることになる」とSNSに投稿したが、その前に「交渉で最悪なのは相手に自分が焦っていると思わせることだ」と書いた自著『交渉の技術』(邦訳『トランプ自伝-不動産王にビジネスを学ぶ』)を読み返すべきだった。イランが優位にあることは停戦交渉の厳しい現実だ。
イランがホルムズ海峡を閉鎖したことで国際経済が大きく圧迫され、特に米国内ではガソリン価格が上昇し、トランプ大統領の支持率が低下した。米国が結ぼうとしている合意は、イランに戦争前よりも強いポジションを与える恐れがある。
つまり、現在浮上している和平合意の骨子は、イランがホルムズ海峡を開放する代わりに、米国が段階的な制裁緩和や凍結資産の解除を認めるという内容で、イランの核問題は事実上先送りされている。このような合意が結ばれれば、イランの悲惨な経済財政状況は緩和され、中東の力関係はイランに傾くだろう。
元駐イスラエル米大使のダン・シャピロは、イランはホルムズ海峡を封鎖し、周辺国や米軍基地を攻撃しながら、米国とイスラエルによる最大限の軍事攻撃にも耐え抜いた。その結果、イランは今回の戦争を通じて重要な交渉力を獲得したと考えている。
早晩、トランプ大統領が悪い合意を受け入れるとしても、それは他に現実的な選択肢が存在しないためだ。トランプは、「地獄を見せる」と繰り返して脅したが、ホルムズ海峡の安全航行を確保するためには、地上部隊の派遣と多数の米軍将兵の犠牲を受け入れなければならない。
