2026年5月25日(月)

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2026年5月25日

 アフリカ軍団は、ワグネルの人員や現地ネットワークを一定程度引き継ぎながら、ロシア政府がより直接的に統制する部隊として位置づけられている。また、ワグネル以外の民間軍事会社や関連組織とも連携しているとみられる。

マリ・ロシア協力体制を揺るがす4月25日攻撃

 4月25日のJNIMによる同時多発攻撃は、マリ・ロシア協力体制に大きな打撃を与えた。攻撃は、首都バマコ近郊のカティ、北部キダル、中部モプティ、セヴァレ、東部ガオなど複数地域で行われ、前例のない規模となった。

 特にカティでは、マリ軍事政権の中心人物であるカマラ国防相の自宅が自動車爆弾で攻撃され、同大臣が死亡した。カマラが標的となった理由は、彼が親ロシア派の有力者であり、かつ対武装勢力戦略を主導してきた人物であるためだ。

 カマラは、フランス軍を中心とする西側部隊の撤退を進める一方、ワグネルやアフリカ軍団との連携を強化してきた。つまり、カマラは「対テロ戦争の司令塔」「親ロシア路線の推進者」「軍事政権の強硬路線の象徴」という3つの意味で、JNIMにとって最重要標的の1人だったと言える。

 ロシアにとって、カマラの死亡は大きな痛手である。彼は19年末からモスクワで軍事研修を受けており、ロシアとの人的・軍事的なつながりを持っていた。20年のクーデター後は国防相として、ロシアを新たな安全保障パートナーとして位置づける路線を推進した。

 さらにJNIMは、マリ北部の戦線で、世俗的なトゥアレグ系分離主義組織「アザワド解放戦線(FLA)」と連携し、大規模作戦を展開した。その結果、キダルに駐留していたアフリカ軍団は撤退を余儀なくされた。

 今回の攻撃は、JNIMとFLAの公然たる同盟を示すものだった。これは、12年のマリ北部動乱時に見られた、イスラーム過激派勢力とトゥアレグ系分離主義勢力の一時的な共闘を想起させる動きである。

 同時に、マリ軍とロシア部隊が、広範囲で同時に発生する攻撃に十分対応できない実態も浮き彫りになった。JNIMは4月28日にバマコ封鎖を宣言し、マリ軍事政権と、それを支えるロシアへの圧力を一段と強めている。


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