2026年6月24日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年6月24日

 ウォールストリート・ジャーナル紙は5月31日付けで、トランプ大統領がサウジアラビアと結ぼうとしている原子力協力についての合意は核拡散のリスクを高める、と指摘する社説を掲載している。概要は次の通り。

(HUNG CHIN LIU/gettyimages・ロイター/アフロ )

 イランの核計画に対して、トランプ大統領ほど明確な対決姿勢で臨んだ大統領はいないが、それを行う一つの理由は世界の中で最も不安定な中東地域において核軍拡競争が起こることを避けるためであった。ところが、その一方で、トランプ政権はサウジアラビアとの間で民生用原子力の合意を進めようとしているが、それは、長年取られてきた拡散への防止手段を放棄したものとなりそうである。

 この合意は、抜き打ち査察を行うための追加議定書をサウジアラビアが署名することも求めていないし、国内でのウラン濃縮や使用済み燃料の再処理を禁ずる「ゴールド・スタンダード」に従うべきことも求めていない由だ。これらは、米国にとって核兵器の拡散を防止するための基準としてきたことである。

 その代わりに、国務省の書簡によれば、米国とサウジアラビアとは、二国間の保障措置協定を締結するとのことである。ロイターの報道によれば、それは前記の「ゴールド・スタンダード」や追加議定書ほど厳格ではないとのことであり、問題は、濃縮が認められるかどうかである。

 核兵器製造の鍵を握るこれらの技術が拡散することは、破局のリスクを高めることになる。数十年にわたる戦略的思考から、米国は、核拡散のリスクについては、敵国のみならず同盟国についても同様のことが言えると捉えてきた。

 国家体制は変わるし、同盟関係も変わる。技術や物質は移転される可能性があり、また、盗取される可能性もある。

 ひとたび、ある国がウラン濃縮を始めれば、それを止めることは難しい。昨年6月、イスラエルと米国による攻撃によってイランのウラン濃縮が止まったが、イランは、すぐにそれを再開すると脅しをかけた。

 サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマーン皇太子(MBS)は、以前に、核兵器の必要性について言及したことがあった。


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