2026年8月24日(月)

トランプ2.0

2026年8月24日

 トランプ政権は、米議会などの追及を受け、ようやくこれら兵器の在庫不足について、予算面での対応に乗り出し、すでに国防総省に増産を指示しているが、専門家の指摘によると、不足分を補填し、関連兵器の実戦配備数を対イラン戦争以前の状態に戻すには、「少なくとも3~5年程度」は要するといわれている。

台湾侵攻への懸念

 しかし当面、中東方面のみならず、我が国含め「西太平洋」周辺諸国にとっての重大関心事は、冒頭のCSISレポートが言及した「対中国戦時態勢面での短中期的リスク」だ。 すなわち、中国による台湾侵攻の際の米軍対応への影響を意味している。特に、侵攻は直近の「2027年説」もありうるだけに、悠長な問題ではない。

 この点に関し、CSISで米軍弾薬在庫状況の推移を追跡してきたマーク・キャンシャン研究員は米誌「Atlantic」とのインタビューで「米軍が、急ピッチで高性能の迎撃ミサイルの増産に乗り出し、今後3年程度で米太平洋軍基地に以前のレベル並みの配備ができたとしても、理論上、中国側に台湾進攻の準備のための十分な時間的余裕を与えることになる」と語っている。

 複数の国防総省当局者も同誌に対し「現状を見る限り、米軍がアジアにおける『脅威』に十分対処できるだけの態勢にあるとは思えない」として、特にパトリオット、THAADの増産、追加配備を急ぐべきことを訴えている。

 さらに、首都ワシントンの保守系シンクタンク「ヘリテージ財団」は去る8月4日付けで、中国の台湾侵攻阻止に不可欠と想定される米軍迎撃兵器の必要備蓄数量などに具体的に言及した「戦域ミサイル防衛在庫―米中衝突時に不十分」と断じた特別レポート(41ページ)を発表、波紋を広げている。

 注目すべき点として同レポートは、以下のように指摘している:

 「戦域ミサイル防衛迎撃兵器の米軍在庫は現状のままでは、米中衝突の際に不十分である。十分な余力がない限り、米軍は中国軍側の攻撃と立て直し能力を劣化させるための持続的作戦を行うことは困難になる。(現在のような)極度に余力の不十分な状態が続くとすれば、米国側の作戦上の失敗と戦略的敗北につながり、ひいては米国の軍事、経済的利益に長期的ダメージを及ぼすことになる」

 「十分なミサイル防衛兵器の在庫が米国にとって死活的に重要なのは、中国側が優秀で近代的な海空戦力を増強しているだけでなく、すでに世界最大規模となっている通常型弾道、巡航ミサイルの在庫をさらに上積みしつつあるからである」

 「この点、第一に指摘しなければならないのは、米軍の『パトリオット』『THAAD』『SM―6』『SM―3』の不足だ。これら現有の迎撃ミサイルのすべてを合算したとしても、中国との長期的かつ高強度紛争に対処するのに必要な戦力の10%以下に過ぎず、しかも実際に、中国側が米軍基地をわずかな数のミサイルで攻撃するだけで、ものの数日間の交戦で米側の迎撃兵器は底をついてしまうことになる」

 「当レポートが指摘する在庫の深刻な欠陥を補い、十分なだけの態勢を整えるには、現在の我が国の生産能力から試算してざっと29年から86年の時間を要することになるが、その一方で、フィル・デービッドソン元米インド太平洋軍司令官は、中国との衝突は『2027年』にも起こりうると述べている。こうした緊急性にかんがみ、我が国はこれら兵器の生産ペースを急速に上げるために、防衛産業基盤を抜本的に立て直すための予算面での早急な対処が必要となる」


新着記事

»もっと見る