2026年9月10日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年9月9日

 8月10日、米国防次官エルブリッジ・コルビーはマニラでアジアの安全保障を主題とする演説を行ったが、その後、8月13日、バンコクにおいてオンラインで記者団との質疑応答を行った。以下は、その際のJapan Timesのジェス・ジョンソン記者との質疑応答の概要である。

(AP/アフロ)

質問:最近のマニラでの演説で、貴次官は柔軟なリアリズム(flexible realism)を売り込む一方で、米国を排除することを意図したと貴次官が言うミドルパワーの間の同盟には不快感を表明した。しかし、こうしたミドルパワーのほとんどは、地域における米国のプレゼンスが揺らいでいると信じ、それを相殺しようとしているのであり、その動き自体は或る意味で実利的で現実的な戦略である。この点について、トランプ政権はどのように考えを整理しているのか。

 また、演説では中国や南シナ海について一切言及がなかったことが指摘されている。何故これらの問題に言及がなかったのか承知したい。

コルビー:二番目の質問から始めたいが、マニラの演説のポイントは戦略的アプローチの転換を強調することにあった。このアプローチの核心にあるのは、各国の能力の強化と結果の実現である。

 着飾る(peacocking)のでなく、軍事面や能力面での真の結果である。長年にわたり、そうした方向での議論は盛んに行われて来たが、実現は乏しかった。

 トランプ政権のアプローチは、力強く明確でありながら静かなもの(strong and clear, but quiet)である。これは我々自身の姿勢だけでなく、同盟国・同志国との連携においても同様である。つまり、抑止力や能力を静かにかつ執拗に強化しつつ、それを適切な言葉によるレトリックと組み合わせるということである。

 こうした問題に関する我々の立場は周知のことである。公にも非公式にも繰り返し表明されて来た。従って、毎日声を大にして主張する必要を感じない。

 ミドルパワーについては(評者註:コルビーは答えを見つけるのに苦労したのか長々と喋ったが、要点を書けば)アジアのみならず、欧州でも中東でもミドルパワーによる協働の戦略は、若干のマイナーな例外を除き、見当たらない。米国は信頼出来ない、米国に提供出来る能力を持ち合わせない、などの理由から分析的には彼等が協働すべきだとなるのかもしれない。しかし、米国の比類なき経済、テクノロジー、軍事産業基盤に徴すれば、ミドルパワーの間の同盟という無駄で無謀な方向を追求するのであれば、時間と努力と資源を浪費することになると言いたい。

 我々は米国を除外する、あるいは除外することを企てることに反対している。ポーランド、ドイツ、フィンランド、日本、韓国、フィリピン、いずれの国も米国との関係を深めている。中東でもF-35戦闘機に対して大変な関心がある。

 焦点とすべきは結果である。どういう戦闘機、艦船、迎撃ミサイルを買うか。それは戦略的現実に見合った抑止の効用のあるものでなければならないはずである。

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