米中間選挙は、投票日の11月3日まで1カ月を切り、終盤戦に入った。今回の中間選挙の鍵を握ると見られている南部テキサス州では民主党上院議員候補のジェームズ・タラリコ氏(以下、初出以外人物に付される敬称および官職名略)が、共和党上院議員候補のケン・パクストン氏に対して、リードを広げている。
米紙ニューヨーク・タイムズとシエナ大学(東部ニューヨーク州)が行ったテキサス州民で投票に行く可能性が非常に大きいと推測される有権者を対象にした世論調査(2026年9月21日~10月1日実施)では、タラリコ支持率51%、パクストン支持率45%で、6ポイントの差になった。6月の同調査では、47%対47%であった。
特に、タラリコは、18~29歳までの若者で44ポイント、無党派層で23ポイントもパクストンを上回った。一方、パクストンは65歳以上の有権者で、タラリコを14ポイントリードした。
もう1つの注目州である中西部ミシガン州では、地元の政治世論会社ミッチェル・リサーチ・アンド・コミュニケーションズ(本社:ミシガン州東ランシング)の投票に行く可能性が非常に大きいと推測される州民を対象にした世論調査(2026年10月1日実施)において、民主党上院議員候補のアブドゥル・エルサイード氏が、共和党上院議員候補のマイク・ロジャーズ氏を4.2ポイント上回った。同調査では、ジェンダーと年齢における支持率の差が明確に出た。
例えば、ロジャーズの支持率は男性51%、女性40%、エルサイードは男性33%、女性50%であった。一方、年齢別支持率は、エルサイードが18~29歳の若者で、ロジャーズを28ポイント上回った。それに対して、ロジャーズは45~64歳の中高年でエルサイードを3ポイントリードした。
以下では、テキサス州とミシガン州において、何がタラリコとエルサイードの支持率アップの要因の1つとなっているのかを中心に述べていこう。
米中首脳会談後も低迷するトランプの支持率
米中首脳会談が終了したが、トランプの支持率は低迷が続いている。同首脳会談直前に行われた英誌エコノミストと大手調査会社ユーガブの全国共同世論調査(2026年9月18~21日実施)によれば、トランプの支持率は「支持する」が35 %、「支持しない」が62 %、「分からない」が2%であった。
では、米中首脳会談中および会談後は、支持率に変化があったのだろうか。同世論調査(同年9月25~28日実施)では、「支持する」が36%、「支持しない」が62%、「分からない」が2%で、会談前と比較すると「支持する」が1ポイントしか伸びていない。11月3日の投票日の前に米中首脳会談を設定したのは、中間選挙に向けて有権者に成果を強くアピールする狙いがあると、当初みられていた。しかし、支持率をみる限り、今回の会談の効果は、ほとんどなかったと言える。
米中首脳会談で注目されたのは、中間選挙において重要な争点の1つになっているAI(人工知能)である。米国の非党派選挙情報・データ調査機関「ディシジョン・デスク」(本部ワシントンD.C.)の全国世論調査(2026年8月20日~9月1日実施)では、成人の70%がAIに懸念を示し、29%がAIを「利益」と、67%が「リスク」と捉えていることが明らかになった。また、成人の64%が、AIは「選挙と民主主義」に害を及ぼすと考えており、「教育」や「雇用」(共に53%)を上回った。
世論調査で定評のある米クイニピアック大学(東部コネチカット州)の全国世論調査(2026年9月24~27日実施)もみてみよう。同調査によれば、AIに関して71%が「より厳しい規制」を求め、16%の「AI開発拡大」を55ポイントも上回った(図表1)。
米国民はAIに対して強い懸念を抱き、厳格な規制を望んでいるにも拘わらず、トランプは、習近平国家主席との会談で危機管理のために継続してAIについて対話を続けることで一致したのみで、具体的な対策を示さなかった。「アフォーダビリティ(衣食住を無理なく支払える程度で手に入れられるとの意味)」、「地球温暖化」および「ロシア疑惑」と同等、トランプは「AI脅威論」を「でっち上げ」と決めつけて「産業革命よりも大きくなるこの技術の成長を、私が阻止することは決してない」とAI促進の決意を示している。
さらに、トランプはAIに対する規制強化は「中国を利するだけだ」と議論している。しかし、トランプのAI規制反対とデータセンター建設支持の裏には、トランプの利益、即ち、ファミリービジネスの存在がある。トランプの長男ドナルド・トランプ・ジュニア氏は、投資会社「1789キャピタル」のパートナー(共同経営者)であり、同社はデータセンター開発企業へ投資を行っている。

