2026年10月8日(木)

トランプ2.0

2026年10月8日

AIを巡る論争で民主党有利

 トランプとは対照的に、タラリコとエルサイードは有権者が抱くAIに関する懸念や要望に対して、具体的な政策を提案している。

 例えば、タラリコは「雇用を守ること」「子供を守ること」および「民主主義を守ること」の3つを挙げた。まず彼は、AIによる自動化で、労働者の雇用が奪われるのを防ぐための規制を求めている。次に、AIチャットボット(AIを活用して人間と自然な対話を行う自動応答プログラム)から子供の安全を守るために、連邦レベルのルールの策定を訴えている。

「民主主義を守ること」に関しては、選挙運動において有権者を欺くAIによるディープフェイク(偽の映像・画像・音声)の全面的禁止を主張している。今回のキャンペーンでも共和党側は、タラリコが女性のドレスを着た広告を流した。勿論、AIによって制作されたものである。これにより、タラリコに「弱いリーダー」というイメージを与えると同時に、彼が過去にトランスジェンダー寄りの発言をしていたことも想起される広告である。

 ちなみに、タラリコ陣営は、AI技術を活用して制作された広告やコンテンツを一切使用せず、人間により制作された広告を用いていると言う。

 一方、エルサイードは、民主的な監視を伴う公的利益のための「公益信託組織(Public Trust Organizations)」の創設を提唱している。その上で、大手AI企業における株の50%を公的(政府)所有とし、そこから得られた利益を国民に還元する「年間AI配当(Annual AI Dividend)」の支給を提案している。この政策の狙いは、AIを一部の富豪ではなく、公衆の利益にすることである。

 また、エルサイードは、連邦食品医薬局(FDA)のような、連邦公的監視機関を設置してAIの安全性を管理・テストする必要性を訴えている。加えて、国際的なAI管理条約の締結の必要性も指摘している。

 前で紹介したクイニピアック大学の調査によると、「AIの影響に関してどちらの党がより上手に対処すると考えますか」という質問に対して、42%が民主党、29%が共和党、13%が「どうちらも同じ」、16%が「分からない」と回答し、AIの管理について民主党が共和党を13ポイント上回った(図表2)。AIに関する論争では、民主党が共和党に対してより多くの有権者の支持を得ている。


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